給料の減額は違法?減給された場合の法的判断例と対処法

多くの会社員が頭をかかえる労務問題の代表とも言える給料の減額。会社の規模や経営状態によって異なりますが、規模が小さくなればなるほど売上低下による経営への影響は直接的で、その打撃は会社から社員へと伝わります。日本にある企業の9割以上が中小企業で、さらにそのほとんどが小規模企業。その数は数百万社にものぼりますが企業数から考えても相当数の方が給料の減額を一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

給料の減額が代表的な労務問題に挙がるということは、減額を受けた社員側は納得していないということ。果たして給料の減額は法的に問題ないのでしょうか。

給料の減額は違法なのか

年々増加する労務問題。極端なケースであれば一般人でも法的に問題があると判断できますが、多くの労働問題は法に触れるのかどうか法律を勉強していない限り判断は困難です。給料の減額は違法なのでしょうか?

給料減額についての法的な決まり(通知や限度額)

結論から言いますと給料の減額自体は違法ではありません。しかし場合によって違法になる場合もありますので、法に触れるケースを確認していきましょう。給料の減額について労働基準法では以下のように定められています。

労働基準法第91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

減給の制限枠である「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」ですが、これをわかりやすく噛み砕くと1回の減給限度額は※平均賃金の50%以下であり、なおかつ一賃金支払期における賃金総額の10%以下となります。つまり勤務先の会社が月給制であり月給30万円(30日分)の場合は1日当たり1万円の給料と考え、この金額の50%以下なので1回の減給限度額は5,000円ということになります。またこの金額には一賃金支払期、つまり月給なら通常1ヶ月間での減給限度額が賃金総額の10%以下でなければならないと定められているため月給30万円の10%である3万円が月の減給額上限となるのです。

そしてこれらの給料減額はあらかじめ就業規則に記載してあることが前提なため、就業規則に記載がない場合は減給することができません。また、上記労働基準法に当てはまらない減給は違法とみなされる場合があります。

※平均賃金とは:平均賃金とは、労働法上の概念であり休業手当や解雇予告手当等の算出の基礎となる賃金で、直近3ヶ月間に労働者に支払われた賃金総額をその期間の日数で割った金額のことを指します。

しかし、上記労働基準法で定められているのは労働者に対する制裁制限、つまり社員が就業規則を守らなかった等の場合にその社員に対して執行される罰のようなものであり、その罰の制限です。給料の減額は制裁以外にも会社の経営不振等様々な理由が存在しますが、それらの減給は法に触れるのでしょうか。

 

違法にあたる給料の減額例

事前通知のない一方的な減給

会社が社員に対して減給をする場合、どのような理由があるにせよ社員への事前通知が必要となります。事前告知のタイミングは定められていませんが通常であれば約30日前。1日前や2日前の告知でも事前告知に該当しますが、減額後の事後告知では違法と判断されます。

 

限度額を超えた減給

前述しましたように減給の限度割合額は労働基準法により定められています。例えば月給30万円の社員がなんらかの理由により20万円に減額されるというのは違法に当たるのです。

 

減給されても違法にならない場合

規則に則って行われた懲戒処分による減給

制裁の内容が就業規則に記載してあることが前提ですが、懲戒処分による減給が前述しました労働基準法第91条が定める制限の範囲内であれば違法とはみなされません。しかし社員の行動が懲戒処分に値しない行為や行動にもかかわらず、会社側が社員に対して懲戒処分を行った場合には、そもそも懲戒処分自体が認められないこともあります。過去の事例では、懲戒処分を受けた社員が不当だと感じ会社を起訴し懲戒処分が無効になったばかりか、会社側が社員に対して金銭の支払いを命じられるということもありました。会社側が社員に対して懲戒処分にするのにもルールが定まっていますので、懲戒処分を受けた場合は以下のポイントを確認し不当な懲戒処分を受けていないか確認してみましょう。

  • 就業規則に懲戒処分規定が記載されているか

会社が社員に対して懲戒処分を行う場合は、懲戒処分の規定が就業規則に明確に記載されていることが前提で、なおかつ周知されていることが前提です。会社から問題視された行為や行動が就業規則に記載されている規定の適応範囲内であるのかどうかを確認しましょう。各企業の就業規則によって内容は異なりますが、一般的には立場を利用した犯罪や会社の名を汚すような犯罪行為・経歴詐称・長期間無断欠勤・注意を受けてなお繰り返し問題行動を起こす・ハラスメントなどが懲戒処分の対象となります。

  • 適正範囲内の懲戒処分か

前述しましたが懲戒処分、つまり社員に対する制裁には制限があるため、その制限を超えるような極端に重い懲戒処分は認められません。懲戒処分を受けた場合は、その内容が労働基準法に定められている制限の範囲内であるかの確認をしましょう。また懲戒処分は一回の問題行為・行動に対して一回の懲戒処分しか適応できません。したがって一回の問題行動にたいして二回以上の懲戒処分をされた場合ルールに違反した懲戒処分は認められませんので、その辺りも確認しましょう。

 

経営難による減給

「会社が3年連続赤字で社員の給料を払えない」など経営難が理由の減給もルールに従い制限の範囲内であれば法に触れるものではありません。会社側が以下のルールに従い減給措置を実行したか確認してみましょう。

  • 減給について社員に対する合理的理由の説明があったか

会社が経営難に陥り緊急な減給措置が必要であったとしても社員に対して何の説明もなく一方的に実行された減給措置は違反になります。そのため減給措置を取る前に全社員に対して会社の状況や今後の建直しに関する計画等を説明し、建直しのために減給措置がどうしても必要であるという旨を共有する必要があります。

  • 減給について社員の同意を得ているか

前項で解説しましたように減給措置には減給について社員に説明をすることが必要です。さらに説明に加えて社員の同意を得ていることが必要なため、同意を得ていないにもかかわらず会社側が減給措置を強行した場合は違反となります。また同意の仕方も口頭なのか文書によるものなのかによって問題が起きた際の結果が変わってきます。もし減給について裁判となった場合、口頭での同意では証拠が残らないため会社側が不利になり社員側が有利になるということもあります。逆に同意書などにサインしてしまった場合は、第三者からみても社員が認めたという判断になるため覆すことが非常に難しくなるため、同意書へのサインには注意しましょう。

  • 適正範囲内の減給か

社員に対する減給措置は、理由が何であれ労働基準法による制限が適応されます。そのため経営難だからといって極端な減給は認められないのです。したがって行われた減給が1回の減給限度額である平均賃金の50%以下であり、なおかつ一賃金支払期における賃金総額の10%以下であるかを確認しましょう。

 

給料を減額された場合どう対処すればいいのか

もし会社側から一方的な減給を言い渡された場合は、どのように対処するのが最良の選択となるでしょうか。対処によっては減給を取消すことも可能となります。不当な減給された場合は以下の対処を行ってみてください。

給料を減額された場合の対処法

会社に説明を求める

会社によっては説明義務があること自体知らない会社も存在するため、会社側から減給措置に対する十分な説明がなかった場合は、減給に関して納得できるまで説明を求めてみましょう。それで納得できる説明が得られるようであれば荒波を立てる必要はないかと思いますが、説明を求めたことにより一方的または不当な理由が明らかになり納得できない場合は外部の専門機関に相談してみましょう。

 

専門機関への相談

納得できない減給を始め、会社と社員の間で起こる多くの労働問題は会社側と社員側にそれぞれ違った意見があり、お互いが自分の意見を通したいと強く考えているため一筋縄で解決することが非常に困難です。したがってこのような場合は会社と社員の間に入って専門的に解決をサポートしてくれる専門機関に相談しましょう。このような場合には労働基準監督署への相談が一般的です。労働基準監督署への相談から会社への干渉は以下のような流れで行われますので参考にしてください。

①労働基準監督署に相談(申告)

まずお近くの労働基準監督署にて状況を説明します。このときすでに状況を客観的に判断できる証拠が揃っているのであれば、よりスムーズに話が進みますが、状況を客観的に判断できるような証拠がなければ労働基準監督署が判断するために必要な証拠を支持してもらえるので、それをもとに証拠集めを行います。

②使用者への事情徴収

証拠が揃い状況が判断できれば、労働基準監督署から使用者にむけて事情聴取がおこなわれます。

※ここでの使用者とは労働者を使用するもの、つまり社長や事業経営者、部長や課長、主任など役職を問わずに含めますが、中小企業の場合、社長であることが殆どです。

③使用者と労働者双方の主張整理・確認

事情聴取を実行したのち使用者と労働者双方の主張を整理し確認がおこなわれます。ここで法違反がなければ一連は終了しますが、違反があった場合は悪点の改善を求められます。これを期限内に改善できれば完結しますが、期限内に改善しない・できない場合は送検され裁判となります。また、主張整理・確認の段階で使用者側に悪質性があった場合は、是正勧告なしに司法処分されることもあります。

労働基準監督署含め相談先にはいくつかありますので、労働問題関係で困ったことがあれば以下専門機関に相談してみることをおすすめします。

相談窓口 概要
総合労働相談コーナー

(各都道府県労働局または労働基準監督署内)

解雇、雇止め、配置転換、賃金引き下げ、いじめ、嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象とした相談窓口。
中央労働委員会 当事者間での労働問題解決が困難な場合に、各都道府県の労働委員会にて労働問題専門家によるトラブル解決サポートを受けられる。
法テラス 労働問題でのトラブル等の解決に役立つ法制度等の案内窓口。

 

状況によっては転職や起業も視野に

これまで解説してきました給料の減額に関する法的な情報や、会社側からの一方的な減給への対処法はご理解いただけましたでしょうか。前述しましたように一方的な減給をはじめとする多くの労働問題は一筋縄ではいかないことが多く非常に難しいものばかりです。したがって全てが解決し収まるまでにはかなりの時間要するため、それなりに労力が必要となります。したがってそこまでして食い下がりたくないという場合は、退職や転職を視野に入れ行動し環境を変えてみるというのも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

このような労働問題を機に、環境を一変するため転職し給与水準を元に戻す、または減給前以上に上げることを実現する方もいれば、会社に依存するという価値観が変わり週末起業を企画しプライベートで事業を開始、そちらの収益が安定したのち独立起業に踏み切るという方もいます。大企業による人件費削減の大規模リストラ実施・発表など、時代の流れとともに世間の意識は徐々に変化し、会社は社員の生活を守るものというこれまでの社会的常識は崩れ、今では個人の生活は個人で守らなければならないという意識に変化しつつあるのです。

問題が起きて悪化してからの行動では出遅れてしまうこともあるので、企業に人生の舵をまかせるという考え方から自分の人生の舵は自分で握るという意識を強くもち障壁が現れても柔軟に対応できるようで転職や起業など今以外の可能性も視野に入れてみることをおすすめします。

 

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ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。

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