外貨預金リスクヘッジ術|高金利かつ安全を実現する投資方法

資産運用法の一つとして一時期話題となった外貨預金ですが、今では様々なリスクが目立つようになり、外貨預金自体が資産運用法として本当に良いものなのか不透明になっています。しかし、日本にはない預金金利が外貨預金には魅力としてあり、金利の程度によってはかなりの運用益が得られることは事実です。ですが金利が高い、つまりリターンが大きければそれに比例してリスクも大きくなるもので、リスクが気になりなかなか高金利には手を出せません。この外貨預金に伴うリスクを軽減して効率的かつお得に運用することは不可能なのでしょうか。

今回は、外貨預金が抱えているリスクから、具体的な外貨預金のリスクヘッジ方法とその具体例、そして一見リスク回避されているように見える外貨積立や、多くのメディアで勧められているFXは本当にいいのか、などを初心者にもわかりやすいようお伝えしていきます。

外貨預金で高金利の恩恵を受けつつも安全性を高めたい、類似商品が気になるという方は、是非本記事をご一読ください。

外貨預金に潜むリスクとは

外貨預金のリスクヘッジ方法の解説に行く前に、今一度改めて外貨預金が抱えるリスクを確認しておきましょう。外貨預金のリスクについては多くのメディアで解説されておりそれぞれに言い方が異なりますが、主に以下4つのリスクを指しています。他にもリスクではありませんが、運用結果に影響を与える外貨預金のデメリットについても一緒に見ていきましょう。

外貨預金のリスク

為替変動による為替差損リスク

為替差損とは、為替の変動により購入時と売却時の価格に差が出て損失が出てしまうことを指します。外貨預金には、為替差損とは逆の、為替差益を狙った投資運用法もあるのですが、これは確実に利益が得られるというわけでなく、将来の為替の値動きを的確に予測できないと失敗し損失が出てしまいます。つまり投資の基本は安く買って高く売りその差額で利益を得るのですが、タイミング間違えてしまえば、安く買ったつもりが高く買ってしまったということもあり予測とは反対に損をしてしまうこともあるのです。

外貨預金で利益を出すには円高のタイミング、つまり外国通貨の価値に対し円の価値が高いタイミングで購入し、購入時よりも円安のタイミングで売却することが基本です。1ドル=100円を円高と判断し購入、いわば購入時にはこれ以上円高になるとは思っておらず、今後円安に為替が推移すると予測し購入するわけです。しかし為替の値動きが予測を裏切り、購入後1ドル=80円とさらに円高の方向に推移した場合、為替差損となってしまいます。

また、この為替差損により場合によっては元本割れしてしまうこともあります。元本割れしそうな場合は、外貨預金を解約してタイミングを計り円預金に戻すことで元本割れを防ぐこともできるのですが、長期的な円高などタイミングによっては外貨を売りたくても売れない状態というのがあるため、外貨預金にはこのようなリスクがあることを事前に認識しておく必要があります。

 

預金保護(ペイオフ)対象外による破綻リスク

預金保護(ペイオフ)とはその名の通りで、銀行が破綻するなどお金の預け先に何かあった際でも、預金者のお金は保護されるという制度です。基本的に日本国内の一般的な銀行(日本国内に本店がある銀行,信用金庫,信用組合,労働金庫,信金中央金庫,全国信用共同組合連合会,労働金庫連合会,商工組合中央金庫)は、預金保護(ペイオフ)の対象内であり、これらの金融機関にお金を預けている際に、仮に何かのアクシデントがあった場合、預金者の預金は1金融機関1預金者あたり元本1,000万円までとその利息などが保護されます。

しかし、海外支店の銀行や外国銀行の日本支店は預金保護(ペイオフ)の対象外です。つまりは今回のような外貨預金は預金保護(ペイオフ)の対象外となるため、仮に預け先の銀行が破綻した場合は元本が消失してしまうというリスクも考えられます。

 

金利変動による運用益減額リスク

金利は国内の景気や物価、海外金利、為替などの市場の金利動向に応じて一定ではないため、外貨預金を開始したときの金利よりも預入途中で金利が下がる場合があります。もし下がった場合は下がっただけ運用益が減る事になるのですが、金利変動の程度によっては、手数料と相殺してしまったりと外貨預金の意味がなくなってしまう可能性もゼロではないと言えるので、外貨預金は預入時の金利がずっと続くわけではないという事を理解しておきましょう。

 

政策変更などによるカントリーリスク

特にこれから高い経済成長を見込まれている新興国に多い例ですが、新興国の通貨で外貨預金をしている場合は、国が安定していない為、預入途中で政策変更がなされて金利が変動したり、通貨の流通量が少ないゆえに為替レートが大きく変動したりととにかく安定しないため、いい方向に動くときもありますが、逆に悪い方に動く可能性も否めません。

また新興国は金利が高い傾向にあるため、高い金利を求めて新興国通貨で外貨預金をする場合は、安定した米ドル等よりも大きなリスクを伴いますので、高金利の通貨を購入する場合はカントリーリスクに特に注意をしましょう。

 

リスク以外の外貨預金が抱えるデメリット

為替手数料がかかる

通常の一般口座、つまり日本国内にいて日本円で自分の銀行口座に預金する場合には手数料はかかりませんが、外国通貨を手に入れる、つまり外国通貨の売買取引時には通常いくらかの手数料がかかります。この手数料を為替手数料と言いますが、この為替手数料は外貨預金最大のデメリットとも言われており、手数料の金額によっては外貨預金での利益を相殺、損失などの大きな悪影響に繋がることもあり、多くの方が外貨預金を運用法としておすすめしていない要因でもあります。

この手数料は取引をする銀行や、扱う外国通貨の種類によって異なるため明確に答えることはできませんが、大手銀行よりもネット銀行の方が、手数料が安い傾向にあります。

銀行を選ぶだけで大きく手数料が異なり最終的に外貨預金で得られる利益も違ってくるためデメリットの度合いを軽減するためにも銀行選びは重要と言えるのです。為替手数料は外貨預金のデメリット以上にリスクとも言える点でもあるため、よく確認しましょう。

 

外貨定期預金の場合は、自由な引出しができない

外貨普通預金には当てはまりませんが、もう一方の外貨定期預金には、金利が高いという反面、預金を自由に引き出せないというデメリットがあります。一般的な日本国内だけで完結するような定期預金であれば何も問題はないですが、外国通貨では為替変動のリスクが常に付きまとうため、為替差損による被害を最小限にしようとお金を引き出そうとしても、外貨定期預金でお金を預入していれば満期まで引出しができないのです。

厳密に言えば中途解約という形で解約は出来るのですが、その場合定期預金のメリットは失われます。しかし一部の通貨では中途解約すら出来ない場合があるため、外貨定期預金を検討する場合は注意が必要です。

 

外貨預金のリスクを回避するには

それでは外貨預金のリスクを確認したところで、どうすればそれらリスクを回避できるか?というリスクヘッジ法を解説していきます。解説する前に一つ誤解していただきたくないのは、ここで解説する内容はあくまでリスク回避の方法です。つまり外貨預金が抱えているリスクを消すのではなく、リスクを別の方法で補うというものです。投資案件が抱えているリスクを直接的に消すことは基本的には不可能であるため、いくつかの手法を用いて本来のリスクを補い、結果的にリスクによる被害を最小限にするというのが投資におけるリスクヘッジです。

投資初心者であればあるほど、「リスクヘッジ方法=リスクがゼロになる方法」と捉える方が多く、誤解したままだとリスクヘッジを正しく行えずに逆に損をしてしまうこともあるため、そうならない為にも、リスクヘッジによって投資案件が抱えるリスクがゼロになるというわけでは決してないということをどうかご理解下さい。

外貨預金のリスクヘッジ法

分散投資でリスクヘッジ

分散投資とは、その名の通り投資先や投資タイミングを複数に分けることにより、投資対象が抱えるリスクを軽減するという投資運用手法のことです。実際に金額に例えて分散投資をしていない場合と、分散投資をした場合で比較しわかりやすく解説してみます。

仮に、投資資金が10万円あったとします。分散投資を行わない場合、トルコリラ(トルコ共和国通貨)に10万円を全て投じることとなります。一方で分散投資を行った場合はトルコリラに5万円、そして別の米ドル(アメリカドル)に5万円投じたとします。このような場合にトルコの財政が破綻してしまったらどうなるでしょうか。トルコリラの価値はどんどん下がると予想できますので、分散投資をせずトルコリラに全額投じていた場合は最悪資金が全て消えてしまいます。しかし分散投資をしていた場合はどうでしょうか。トルコリラに悪影響がでたとしても、米ドルに影響がでていなければ5万円は守られます。しかもこの際に米ドルの為替変動により利益がでていればトルコリラでの損失をカバーできる場合もあるのです。

これは非常に極端な例ですが、このように散投資をすることによって投資によるリスクを大きく軽減できるため、投資運用を成功させるのであれば、必ず行わなければならないことでもあるのです。もちろん外貨預金も例外ではありません。

それでは以下にて実際どのように分散すればいいのか具体的にみていきましょう。

  • 購入通貨を分散

前述の例で簡単に触れましたが、リスクヘッジのための基本である分散投資の主要方法は投資先を分散させるというものです。外貨預金での投資先とはつまり外国通貨の事を指し、投資先を分散させるということは購入する外国通貨を1種類ではなく複数に分けるということです。通貨の組み合わせは自由ですが、分散させるからにはできるだけ投資先に関連していない先を選びましょう。

たとえばA国の通貨と、A国に経済面で依存しているB国の通貨を購入したとします。この場合、投資先を分散してはいますが、A国に有事があった際、A国に依存しているB国にも悪影響を及ぼす可能性があるため分散している意味がありません。したがって複数に分ける投資先は、できるだけ関連のない先を選ぶのが好ましい形です。

また、リスクの高い高金利な通貨にばかり分散しても、リスクの軽減にはなりません。できればリスクの高い通貨を購入するのであれば、もう一方はリスクが少なく手堅い通貨を選びトータルのリスクを平均させるような分散の形をとりましょう。

  • 購入タイミングを分散

外貨預金のように値動きがある金融商品でしたら、購入タイミングを分散するだけでもリスクヘッジとなります。値動きのある投資信託や株、為替などの商品は安く買って高く売ることで利益を得るため、購入時のタイミングが非常に重要になってくるのですが、ベストなタイミングを見極めるというのは熟練の投資家でも非常に難しく到底100%というわけにはいかず、投資の初心者であればなおさら見極められません。場合によっては安いと思って購入したら、その後価格はみるみる下がり結果的に高い時に買ってしまったということが起こるのです。

したがって値動きのある金融商品では、購入タイミング自体がリスクと言えるのですが、このタイミングを分散させる、つまり投資資金10万円全額を一度に投じるのではなく、1万円を10回に分けて投じることによって、購入タイミングによる高い安いを平均化することができるため、トータルでみるとリスク分散となるのです。このような投資手法を「ドルコスト平均法」といいます。外貨預金や投資信託では積立型を選択することにより、購入タイミングの分散を自動化することが可能です。

  • 購入商品を分散

購入商品を分散させるというのは、前述しました購入通貨を分散させるという投資先分散と考え方がほとんど同じですが、投資先は何も外貨預金に限る必要はないため、他の金融商品に分散させるというのもリスクヘッジの一つです。たとえば投資資金10万円の内訳を外貨預金5万円、株式5万円にしてもいいですし、投資信託を組み合わせてもいいでしょう。

万が一外貨預金で損失を出しても、他の投資先で利益が出ていれば、資産全体的に損失と利益を相殺し平均化できるばかりか、場合によってはプラスになることも十分にあります。したがって外貨預金だけにこだわらず広く情報収集をし、可能性のある投資先を組み合わせリスクヘッジしましょう。

 

為替動向をチェックすることでリスクヘッジ

これは、これまで解説してきましたリスクヘッジ法というよりも、投資をするからには是非習慣にしてほしいことです。投資運用初心者に多い例ですが、外貨預金や投資信託などに一度お金を投じる、預けてしまうとそれだけで安心して情報収集をしなくなることがあります。そのような状態では投資先である外国通貨の国に有事があった際、情報の取得が遅れ大損してしまうことがあります。常に国政情報や為替の動向をチェックしておけば、有事があったとしても有事の前に危険を予測して対策を立てることができるので、すべての投資に言えることですが情報収集は120%行い、リスクを事前に察知し最悪の事態を回避しましょう。

 

外貨預金と比較される金融商品の実態はどうなのか

外貨積立は良い金融商品なのか

銀行など外貨預金の販売者は当然外貨預金を進めますが、投資家の間では賛否両論あり外貨預金自体に対して否定的な意見が多く存在します。さらに外貨預金には「外貨積立」という商品があり、積立なので一見リスクヘッジもできていて良いように思えますが実際のところはどうなのでしょうか。

外貨積立とはその名の通り外貨預金を少額ずつ積立で行うことですが、外貨積立には基本的に外貨預金と同じようなメリット/デメリットが存在します。為替変動による差益もしくは差損、金利の高さによるリスクの大きさ、売買時に必要な為替手数料などが主なメリット/デメリットですが、外貨積立では購入タイミングが分散されるため、為替変動によるリスクも分散されます。しかし外貨預金を短期運用と捉えてしまうとメリットを十分に享受できず手数料などでデメリットが目立ってしまうでしょう。

したがって短期のように短い期間で大きな利益を得ることは難しいですが、長期運用と捉えれるのであれば外貨積立は良いと言えるのではないでしょうか。

 

外貨預金と比べFXの方がいいのか?

FXとはForeign Excahangeの略であり、日本語では「外国為替証拠金取引」といいます。 FXは外貨預金と似ていてドルやユーロ、日本円など外国通貨を交換・売買して、その差額で利益を得るという金融商品です。細かく言えば外貨預金とFXは一見同じようでもいくつか違いがあるのですがそれらの違いの中でも特に為替手数料の金額が問題点となっています。

為替手数料は金融機関と対象の外国通貨によって異なるため明確には答えられませんが、一般的には一通貨単位あたり0.1円から4円程度の手数料がかかります。一通貨単位でみるとそこまで大した金額に思えませが、まとまった金額を交換・売買すると結構な金額になるため注意が必要です。例えば、大手銀行では円を米ドルに交換する際、1ドル=1円程度の手数料がかかります。

この時の為替レートが仮に1ドル=100円とした時、100万円を米ドルに交換すると、交換後1万ドルになるわけですが、この際1ドルあたり1円の手数料が取られるため、1万ドルでは1万円の為替手数料が発生することとなります。しかもこれは片道の金額なので円を米ドルに交換した際の金額です。つまり米ドルを円に戻そうとしたときにまた同じ金額ようなが必要となるので実際には2万円かかることとなります。これでも米ドルは比較的手数料が安い方ですが、通貨によっては2円、3円、4円と異なるため場合によってはもっと取られてしまうこともあるのです。

しかし一方のFXの運営会社つまりオンライン証券会社(ネット証券会社)では、タイミングによっては手数料が無料であったり、手数料がかかったとしても1通貨単位あたり1銭前後なので、つまり1米ドルあたり0.01円の手数料と大手銀行の1/100程度の手数料で交換が可能です。

FXには他にも通常の外貨預金には真似できないような柔軟性と利便性があるため、その差は歴然です。ただしFXにはレバレッジという少ない資金で大きな取引ができるという機能があります。少ない資金で大きな取引ができるためリターンも大きくなるのですが、その分リスクも非常に大きくなります。したがってFXを外貨預金代わりにレバレッジ1倍で利用する分には非常に大きなメリットを享受できるでしょう。ですがレバレッジの魅力に取り憑かれ、大きくレバレッジをかけてしまうと、資産に大きなダメージを負ってしまうこともあるので注意が必要です。

 

リスクと上手に付き合い安全で効率的な投資を

以上が外貨預金のリスクヘッジについてです。世の中に数多く存在する投資案件には必ずリスクが伴います。多くの日本人が絶対的に安全と答える大手銀行への預金も金融商品の一つであり、リスクはあまり目立ちませんが一般的な銀行預金も実はリスクが潜んでいるのです。極端な例ではありますが、日本が世界の戦争に巻き込まれ日本全土に大きな被害が出た場合、被害程度によっては銀行に預けていたお金が戻ってこないこともあるでしょう。このようにどんなことにもリスクはつきものであり、指摘しだせばキリがありません。

そのため投資運用を成功させるためには、リスクをキチンと把握した上で、対象の投資案件が抱えるリスクと向き合いリスクヘッジをし、リスクと上手に付き合う必要があると言えるでしょう。リスクを指摘しだしたらキリがないように、リスクヘッジの方法も固定概念に囚われなければいくらでもあるので、外貨預金含め、それ以外の投資運用でもリスクと上手に付き合い賢い投資を実現しましょう。

 

ライタープロフィール

 EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。