懲戒処分の基準|民間企業の懲戒基準と納得できない時の対処

民間企業での懲戒処分の基準はどこからでしょうか?

多くの人が働く企業では、様々な問題が起こりやすいため組織の秩序を保つために就業規則が設けられており、そんな規則に違反することで懲戒処分の対象となることがあります。通常、懲戒処分の対象となるには就業規則によって定められている規定に違反していなければ会社は社員に対して処分を言いわたすことはできず、懲戒処分を執行するとしても労働基準法の規定に従い行う必要があるため、滅多なことでは懲戒処分の対象にはなりません。

しかし、懲戒処分の中でも不当な懲戒処分なども多く存在するため、近年では懲戒処分を原因とした労働問題相談件数が増加傾向にあります。できる限り問題を起こしたくはないですが、多くの方が懲戒処分の基準を明確に理解していない傾向にあるため、どこからが懲戒処分になるのか、懲戒処分を言いわたされたがこれはどちらが悪いのか、納得いかない場合はどうすればいいのか、など様々な疑問が出てきて不安であり不服です。

懲戒処分はどのような基準で言いわたされ、不当理由など言いわたされた懲戒処分に納得いかない場合はどうすればいいのでしょうか。

今回は、懲戒処分の基準から、処分対象になった場合の注意点、不当解雇の例、処分に納得いかない場合の対処法についてお伝えします。

懲戒処分の基準について

懲戒処分は、民間企業という組織の秩序を守るために社員として守るべきルールである服務規律に反した社員、つまり企業の秩序を乱した者に対して制裁・懲罰の意味があります。懲戒処分には段階があり、規律違反の内容や程度によって注意で済むときもあれば、場合によっては懲戒解雇処分になることもあり、この懲戒処分に関するルールは定められていますが、明確な基準というものは全国一律ではありません。基本的に懲戒処分の基準は企業の就業規則によって定められているため、ある程度はどの企業も揃えられていますが、懲戒処分の対象となる事柄が職種や業界によって異なるため基準として定められないのです。以下にて懲戒処分のルールや種類及び実例をご紹介しますので、最終的にはご自身が在籍されている就業規則を確認して懲戒処分の基準を把握してください。

※国家公務員の場合は国家公務員法第82条、地方公務員の場合は地方公務員法第29条に公務員に対する懲戒処分が規定されています。

懲戒処分のルール

懲戒処分を行うには就業規則に規定されていることが必要

懲戒処分を社員に対して執行するには、就業規則に懲戒処分関連事項が明確に記載されている必要があります。逆に言えば懲戒処分関連事項が就業規則に規定されていなければ、社員に対して懲戒処分を執り行うことはできません。また執り行なわれる処分は「懲戒処分相当性のルール」にしたがって執り行なわれる必要があるため、懲戒処分対象者が起こした問題行動の内容と比較して、制裁や懲罰が重すぎてはいけないのです。さらには1回の問題行動に対して執行できる懲戒処分は1回までという「一事不再理のルール」があるため、1回の問題行動に対して2回の懲戒処分を行うことは許されていません。

このように企業が社員に対して懲戒処分を執り行うには主に3つのルールを守っていることが必要でルールにしたがいつつ、問題行動に対して軽すぎず重すぎない適正な処分を行うことが必要なのです。それでは、就業規則に記載しなければならない懲戒処分関連事項とは何なのでしょうか。

就業規則に規定しなければならない懲戒の種類・内容とは、どのような懲戒処分があり、それらの懲戒処分ではどのようなことが行われるのかということです。企業が懲戒処分を社員に対して執り行うにはこれらを明確に規定しておく必要があります。懲戒処分の種類は一般的に「戒告」「譴責」「減給」「出勤停止」「降格」「諭旨解雇」「懲戒解雇」の7つで、懲戒処分の中でも戒告が一番軽く、懲戒解雇が一番重い処分となっています。

以下は厚生労働省が例として公表している懲戒の種類ですが、以下はあくまで例であり、懲戒処分の例は企業によって異なるため紹介しました7つの処分が規定されているところもあれば、それ以上またはそれ以下で規定されているところもあります。

[出典:厚生労働省『第11章 表彰及び制裁』]

  • 戒告(かいこく)

懲戒処分の中で最も軽い戒告ですが、戒告は口頭での反省を求めるにとどまるものであり、いわば注意にあたります。

  • 譴責(けんせき)

戒告の次に重いのが譴責です。譴責も戒告同様、服務規律違反をした社員に対して反省を求めるものではありますが、譴責の場合は口頭ではなく書面にて反省を求められるのが一般的です。仕事で重大なミスを犯した際に提出を求められる「始末書」ですが、これは懲戒処分になるかどうかの判断材料に使用されるものであり、懲戒処分の一歩手前なため譴責処分とは異なります。

  • 減給(げんきゅう)

譴責の次に重いのが減給処分です。減給処分にはルールが設けられており1回の懲戒処分で減給できる額の上限が決められています。以下は労働基準法第91条の減給規定です。

労働基準法第91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

つまり、1回の減給限度額は※平均賃金の50%以下であり、なおかつ一賃金支払期における賃金総額の10%以下となります。勤務先の会社が月給制であり月給30万円(30日分)の場合は1日当たり1万円の給料と考え、この金額の50%以下なので1回の減給限度額は5,000円ということになります。またこの金額には一賃金支払期、つまり月給なら通常1ヶ月間での減給限度額が賃金総額の10%以下でなければならないと定められているため月給30万円の10%である3万円が月の減給額上限となるのです。

そしてこれらの給料減額はあらかじめ就業規則に記載してあることが前提なため、就業規則に記載がない場合は減給することができません。また、上記労働基準法に当てはまらない、限度額を超えたような減給は違法とみなされる場合があります。

※平均賃金とは:平均賃金とは、労働法上の概念であり休業手当や解雇予告手当等の算出の基礎となる賃金で、直近3ヶ月間に労働者に支払われた賃金総額をその期間の日数で割った金額のことを指します。

  • 出勤停止(しゅっきんていし)

出勤停止とは、服務規律違反者に対して反省を求めるため一定期間の就労を禁止する懲戒処分です。出勤停止処分になると当然ですが期間中賃金の支払いはされず、勤続年数としてカウントされません。労働基準法にて制限は設けられていませんが、一般的には1ヶ月未満であることがほとんどです。1ヶ月以上のものでは懲戒休職や定職と呼ばれます。

  • 降格(こうかく)

さらに違反事由が重くなると、これまで与えられた役職を返上するなどの降格処分となります。降格処分ではこれまで役職手当として支払われてきた手当が貰えなくなるため、減給処分では一時的なものでしたが、役職返上では期間が定められておらず、再び役職を与えられるまで給料が戻ることはありません。

  • 諭旨解雇(ゆしかいこ)

諭旨解雇はあまり聞きなれませんが、懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇よりも処分程度を若干軽くした処分です。諭旨解雇の場合は強制的な解雇というわけではなく、企業側と社員が話し合い納得の上で解雇処分を受け入れるもので、対象社員に対して一定期間内に退職届を提出させることから諭旨退職とも呼ばれます。

  • 懲戒解雇(ちょうかいかいこ)

懲戒解雇とは懲戒処分で最も重い処分であり、会社側が強制力を発揮し対象社員を解雇します。懲戒解雇処分を受けてしまうと特定の場合によっては即時解雇または退職金を受け取ることができなくなる場合もあるので注意が必要です。特定の場合とは、労働基準監督署の除外認定を受けている場合であり、受けずに即時解雇をしてしまうと不当解雇となり会社側が違法とみなされます。特定の場合以外、つまり通常の場合は懲戒解雇であれ労働基準法第20条に基づき、※特定の場合を除き解雇には予告手続というものが必要になるため使用者(会社)は労働者に対して少なくとも解雇日の30日以上前に告知をするか、告知後30日分以上の平均賃金を支払わなければならないことが義務付けられているため、事前の予告が必要です。懲戒解雇は会社にとってもリスクがある処分なため、滅多なことでは懲戒解雇になり得ません。

※第20条での特定の場合とは「日雇い」「試用期間中」「2ヶ月以内の期間限定労働」「季節的業務による4ヶ月以内の期間限定労働」などの場合を指し、これらの場合を超過する際は解雇予告制度が適用されます。

 

懲戒事由が懲戒処分の基準

懲戒事由とは懲戒処分の対象となりうる事柄であり、この懲戒事由がいわば企業での懲戒処分の基準となります。一般的には懲戒処分の中でも比較的軽い譴責・減給・出勤停止と、懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇で分けて規定されており、懲戒解雇は「懲戒解雇の事由」として規定されています。基本的に懲戒処分の対象となる懲戒事由は、無断欠勤などの勤務不良、過剰な職務怠慢、業務違反命令、経歴詐称、名誉毀損などにより会社に損害を与えた時、顧客情報や企業秘密などの情報漏洩、刑法違反とみなされるような犯罪行為が懲戒処分の対象であり事由です。また近年ではセクハラやパワハラなどの労働問題が増えていることから、ハラスメント(嫌がらせ・迷惑行為)も懲戒事由に含める企業が増えています。以下は厚生労働省が公表している懲戒事由の例ですが、懲戒事由も企業によって異なりますので詳しくは在籍している企業の就業規則を確認してください。

[出典:厚生労働省『第11章 表彰及び制裁』]

※平均賃金とは:平均賃金とは、労働法上の概念であり休業手当や解雇予告手当等の算出の基礎となる賃金で、直近3ヶ月間に労働者に支払われた賃金総額をその期間の日数で割った金額のことを指します。

 

すべての懲戒処分は認めざるを得ないのか?

会社が懲戒処分を通知してきた際、その処分が全て正しいというわけではありません。会社側が知らずに不当な処分を通知してきている場合もありますし、狙って不当な処分を言い渡してきていることもあるのです。損をしないためにも以下のような懲戒処分には注意しましょう。

注意すべき懲戒処分(不当な減給・降格・懲戒解雇)

遅刻したから月給30%カット

前述しましたように、懲戒処分での減給は「平均賃金の50%以下であり、なおかつ一賃金支払期における賃金総額の10%以下」と法律で決められています。したがって減給限度額を超えての減給は不当であると言えますし、程度にもよりますが通常の遅刻程度では一般的な懲戒事由に当てはまりません。このような通知を受けた場合、すぐに納得せず会社と直接交渉するか外部に専門期間に相談しましょう。対処法については後述します。

 

仕事ができているにも関わらず能力不足を理由に降格

仕事ができているにも関わらず能力不足等なんらかの理由をつけられ降格させられるという懲戒処分にも注意です。降格ともなると懲戒処分の中でも重めの処分となるため、程度にもよりますが仕事ができているにもかかわらず能力不足等で降格させることは通常あり得ません。なんらかの理由をつけて降格する場合は企業にとって裏の意図がある可能性が高いと言えます。

 

あらぬ疑いをきせられ懲戒解雇

あらぬ疑いをきせられ懲戒解雇処分になるのは明らかに不当です。過去社内での横領を疑われ、懲戒解雇処分を受けるといった事件がありました。その事件は結果的に無効となりましたが、このようにやってもいないのに疑われ不当な扱いを受けたときは、受け入れてはいけません。懲戒解雇ともなると、その会社を辞めなければならないだけでなく次の会社に再就職する際の弊害となるので不当であれば必ず解決しておきましょう。

 

懲戒処分に納得が行かなかった時はどうすればいいのか

不当処分への対処法

会社に直接交渉してみる

言い渡された懲戒処分に納得がいかない、または不当だと思ったら一度会社に直接交渉を持ちかけてみましょう。通常であれば会社が懲戒処分を言い渡すまでにはきちんとしたステップを踏むため間違いはありませんし、懲戒処分は会社の専決事項なため社員に拒否することができません。しかし近年話題となっているブラック企業でしたら不当な言い渡しをしてこないとも限りませんし、ブラック企業でなくてもこのようなことが起こらないとは限りません。企業側に悪気がなければ穏便に対処したいはずですので、もしかすれば事を荒立てずに改善できるかもしれませんので一度ダメ元でも交渉してみてください。

 

外部専門期間に相談してみる

会社と直接交渉しづらかったり、交渉しても聞き入れてもらえず取り合ってくれなかった場合は、外部専門機関に相談しサポートしてもらうことも可能です。納得のいかない懲戒処分も立派な労働問題です。労働問題の相談先は多数存在しますが、まずは労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署への相談は一切費用がかかりません。現状がどうなのかを詳しく相談してみてください。労働基準監督署以外にも弁護士などへの相談もオススメです。以下は社内で問題が発生した時などにサポートしてくれる専門機関ですので参考にしてください。また裁判ともなると労働基準監督署よりも弁護士の方がより強力なサポートをしてくれるのでおすすめです。今回の件で弁護士利用の場合は労働問題を専門に取り扱っている弁護士に相談しましょう。

相談窓口 概要
総合労働相談コーナー

(各都道府県労働局または労働基準監督署内)

解雇、雇止め、配置転換、賃金引き下げ、いじめ、嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象とした相談窓口。
中央労働委員会 当事者間での労働問題解決が困難な場合に、各都道府県の労働委員会にて労働問題専門家によるトラブル解決サポートを受けられる。
法テラス 労働問題でのトラブル等の解決に役立つ法制度等の案内窓口。

 

懲戒解雇処分を受けると再就職が格段に厳しくなる

懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇を受けてしまうと、その会社を解雇されるという問題だけでなく再就職も難しくなってしまいます。懲戒解雇処分を受けると離職票に「重責解雇」と記載されてしまうので、ばれないように言わなかったり履歴書に書かなくても再就職先にわかってしまうのです。一般的に懲戒解雇処分を受けるということは相当な理由があると判断されるため、基本的には煙たがられ受け入れてもらえません。

自分に相応の非があっての懲戒処分であれば抗っても覆させることは難しく、その場合は素直に反省することが望ましいですが、そうではなくあまりにも一方的で不当な場合は後々の人生にも大きく影響してくるため、ぜひ対処を検討してください。

 

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ライタープロフィール

 EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。