不動産は儲かる?不動産投資家が教える真実と収益物件選別法

「不動産投資は儲かるの?」

以前は資産家など特定の方が購買層の中心であった不動産投資ですが、長きにわたる低金利や将来の年金に対する不安など日本の経済環境にも影響もあってか、これまでの購買層とは様子が変わってきました。

しかし、気軽に検討する時代になったとはいえ、不動産投資は皆さんが思うほど単純なものでもありません。実際に不動産投資に踏み込んだ方の中には、思い切って投資してみたものの、思ったように儲からなかった、不労所得と思って不動産投資を始めたのに意外にもやることが多くて大変、といった後悔の声も聞こえてきます。不動産投資は本当に儲かるのでしょうか?

今回は、実際に不動産投資をしている投資家のポートフォリオの一部から、各物件におけるある年の実際の収支を見ていただき、不動産投資が本当に儲かるのか、儲からないように見えてもそれをやる意味等の不動産投資の真実から、儲かる収益物件の選別法などについてお伝えします。

不動産は儲かる?誤解しやすい不動産投資へのイメージ

まず皆さんは「収益不動産」「不動産投資」と聞いて何をイメージするでしょうか?「資産家・お金持ちの投資」、「不労所得(楽して儲かる)」といった内容は誰でもすぐに思いつく内容かもしれません。

これらのイメージは多くの方がいまだに不動産投資に対して持っているものかもしれませんが、最初から厳しいお話をすると、筆者自身は、これはあくまでも不動産投資に対する単なる妄想にすぎないと考えています。

確かに多くの資産家は不動産投資をしているでしょうし、不動産投資によって不労所得を得ている方も少なくないでしょう。但し、だからといって「不動産投資をすれば資産家になれる」、「不動産投資は不労所得である」ということと同義ではありません。このことを皆さんはどの程度理解しているでしょうか?

批判も承知であえて言わせてもらえば、不動産投資は不労所得ではないし、意外に儲からない、というのが実態です。確かに他のマーケット商品に比べれば安定していること、レバレッジ(借入金)の活用により、少ない資金で大きな取引が出来ることはメリットですが、一方で、不労所得というほど何もしなくて良いわけでもなく、利益率も実はそれほど高くもありません。

それでは実際の不動産投資家が各々の物件からどの位の利益を出し、キャッシュフローを産み出しているのでしょう?次章では具体的な事例をもとに紹介します。

 

不動産は儲かる?不動産投資の具体的な実例

今回は、筆者の知り合いの投資家が保有する収益不動産に係る実際の収支を物件ごとに出してもらいました。実際この投資家は次のような三つの物件を保有しています。ちなみに彼は40代前半、年収840万円のサラリーマン投資家です。

A.築年数17年の地方都市に所在するRCマンション(1室)

B.築浅(築3年)の首都圏に所在する木造アパート(1室)

C.築年数15年の横浜市内に所在する木造アパート(1室)

AとBについては銀行ローンによる借入を利用し購入している一方で、Cの物件は現金で購入しています。なお、各物件の購入時点は2010年~2013年位であることから、2017年現在と比較して購入時の表面利回りはかなり高い数値となっています。

この収支表からは、不動産投資の意外な側面が見えてきます。例えば、Bの物件にいたっては、1800万円の投資に対し、表面利回りが14.5%もあるにもかかわらず、実質CF(キャッシュフロー)ベースでの利回りはたったの1.2%にしかならないことが分かります。いかに儲からないことか・・・・ 以下、特に注目すべき点について解説します。

不動産投資が思ったよりも儲からない理由

表面利回りのワナ

上述したとおり、不動産投資における表面利回りがいかにアテにならないかということは、これらの物件収支表を見れば一目瞭然でしょう。もちろん収益不動産の一つの比較指標(目安)としては良いのですが、これをあまりに信じすぎるのは大きな問題です。

築年数、立地、設備仕様、管理会社の力といった多様な要因が物件の稼働率、すなわち収益力、に繋がり、また経費の種類を見ても今まで想定すらしていなかった項目が計上されているのではないでしょうか。

これらの諸々の要因が絡み合い、営業純利益(実質利回り)に影響を及ぼしますので、不動産投資においては物件購入後においても、この収益性を維持、向上させるために、当初の表面利回り以外に相当多くの事象について考え、工夫、実践していく必要があります。いわゆる経営です。この観点からは、皆さんが思い描いている不労所得とはかなりかけ離れているかもしれません。

 

借入額、条件によって最終利回りに差が出る

不動産投資においては、借入金を活用することで自己資金以上の大きな物件に投資できる魅力があります。但し、これも借入手法を間違えると結果に大きな差が出てきます。

借入金の有無や、借入金額、借入利率、期間はいずれもその投資の成功の鍵を握っているといっても過言ではありません。中には自分ではコントロール出来ない項目もあるかもしれませんが、この銀行ローンを利用する場合は物件選びと同等以上に注意が必要と言えるでしょう。

例えば、ここではAとBが借入金を活用していますが、Aの物件の借入金利は3.9%とかなり高い水準の融資を利用している一方で、Bの物件では借入金利は2.7%です。単純に考えればBの方が借入金の返済が軽くなりそうな気がしますが、キャッシュフロー上の実態を見ると、収入金額に対する借入金返済額の割合はBの方が相当高くなっており、従って実質キャッシュフロー(最終利回り)も低くなっています。

お分かりのとおり、これは借入期間による違いです。Aでは金利は高いものの、借入期間が20年と、Bの15年に比べて長い期間で借入を行っているため、結果として年間の返済割合は低くなる=最終的にキャッシュが多く残る、という結果になっています。

なお、ここで難しいのはキャッシュフローが多く残るAの物件の方が良い投資とは一概には言えないところです。Aの方では借入期間も長いため、リスクを先延ばしし、その分CFを稼ぐという考え方、一方、Bの方では早めに借入金を返済し、純資産を増やしていくという考え方に基づく投資手法です。どちらが良いかはその投資家の投資ステージにもよりますので、一見儲からなさそうな投資(少ないCF、低い投資利回り)であっても、収益不動産に何を求めるのかによっては是となることもあるのです。

 

築年数や構造により実質キャッシュフローが大きく変わる

建物の築年数や構造(形態)は、減価償却費を算出する上で大変重要なポイントです。例えばCの物件では木造で築年数も古いため、年間にとれる減価償却額も大きくなり、結果として税額の圧縮=実質キャッシュフローが大きくなります。銀行からの借入を利用していないというのも相まって、この物件は今回の3物件の中では最も実質利回りが高い投資となっています。

但し、今回の物件は前述したとおり物件の購入時点が今から4~5年前という不動産価格も少し落ち着いていたころに仕込んだ物件です。従って、不動産価格が高騰している今購入するとなると、実質利回りは一般的に更に下がるであろうと考えられます。

それでも不動産投資はなぜ魅力なのか

前章では具体的な収支実績を見ていただきましたが、投資額に対してあまりの収益力の低さに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?また、忘れてはいけないのは、不動産は購入するときのみならず、買った後の運営においてもしっかりと考え、継続的にきちんとした経営をしていく必要があり、すなわち著作権などといった真の不労所得とは全く異なっている、ということでしょう。

それほど収益率も高くない(思ったほど儲からない)、更にはそれなりの手間もかかる(不労所得ではない)、という現実にもかかわらず、それでもなお不動産投資に人気があるのはなぜでしょうか?

それは、上述したとおり、不動産投資は、他のマーケット商品に比べて安定していること、レバレッジ(借入金)の活用により、少ない資金でも大きな取引が出来ること、そして、何よりも、他の投資商品に比べて資産形成がしやすいこと、という点にあります。

もちろんこれらのメリットを最大限に活かし、きちんと資産形成まで結びつけるためには相当勉強が必要であることは言うまでもありません。やみくもに不動産投資を始めたとしても結果は出せず、「思ったより儲からなかった」「大変だった」だけで終わってしまうことが多いのです

筆者が考える不動産投資での資産形成術を一言でまとめると、「自身の投資ステージに合わせ、借入を上手に活用したリスクコントロールを行い、税務処理で節税をしながら数を増やし、安定稼動の薄利を積み重ねていく」というのがポイントでしょう。なお、人はそれぞれ全く違った投資ステージを持っているため、目先のキャッシュフローや投資物件の規模の大小での儲かる、儲からない、といった議論はそもそも意味がないと考えています。

 

投資ステージによって使い分ける

前述した自身の「投資ステージ」についてここでもう少し私の考えを説明します。投資ステージは各々異なりますが、ここではざっくりと一般的な年齢で3つの投資ステージに分類しました。以下、投資ステージの説明と、それぞれの投資ステージに合わせたリスクの取り方、収益物件(不動産投資)の選別法を紹介します。

投資ステージに応じたリスク選択と収益物件の選別法

①収益基盤拡大期:積極的にリスクを取り、資産規模を加速度的に殖やしていくステージ(20代~30代後半)

②資産組換え期:資産形成のために積極的にとっていたリスクを少しずつ分散(低減)させていくステージ(40代~50代前半)

③純資産形成期:リスクを抑え、純資産の形成に資産構成をシフトしていくステージ(50代後半~)

①収益基盤拡大期

この時期は、年齢も若いこと、お金がかかるライフイベントも多くないこと、などからある程度リスクをとれるステージといえます。一方、自己資金が少ないステージでもあり、極力手持ち資金を使わずに長期での借入金を有効活用し、日々のキャッシュフロー(CF)が高くなるような物件、買い方を選別していくことが重要です。

前項「不動産投資における収支実例」の具体事例を参考にするならば、Aのような高いキャッシュフロー(CF)を産み出す物件(買い方)がこれにあたります。もちろんこのような物件は、いくら当初のCFが良くとも長期に渡る借入期間中に物件価格が下落し、売却時には借入金返済額よりも低くしか売れない、といったリスクもありますので十分に気をつけましょう。

一方、実際に多くのキャッシュフロー(CF)は産み出すため、それをまた頭金(原資)とし、次々と資産規模を殖やすという手法は取りやすくなります。なお、このステージではいずれにせよ借入金頼みの手法になりますので、銀行が貸してくれやすい物件、著しく自分の信用を毀損しない物件を購入する必要があります。

ここで注意すべきは、このステージで得られたキャッシュフロー(CF)は真の利益と考えてはいけない、ということです。キャッシュフローが多く出る物件を長期の借入で増やしていくということは、資産のみならず負債も増えているということです。負債の減り方と比例して不動産の価値は必ずしも減りませんので、ここで得られたCFは、あくまでも将来の利益を前借りしている、という感覚で決して無駄遣いしてはいけません。このステージは不動産投資家としてはまだまだ危ういステージともいえます。

 

②資産組換え期

この時期は、保有資産(不動産)全体の質やリスクを考えながら、リスク低減に向けた資産の組換えを実施していく時期です。①のステージを経てある程度キャッシュフローが出ているうちに、単に高キャッシュフローを産み出す物件から真の資産価値が高い物件に少しずつシフトをしていく段階といえます。

前項「不動産投資における収支実例」の例ではAの物件(高いキャッシュフローを産む物件)からBの物件(資産価値が高い物件)へシフトしていくようなイメージでしょうか。このステージでは、例えば借入金の際には頭金を多めに拠出する、借入期間を短くする、といった具合に、仮に日々のキャッシュフローが産まれなくとも、少しずつ純資産が増えていくような物件を選別し、資産ポートフォリオから不確定な要素を少しずつ減らしていく(入れ替えていく)段階です。

 

③純資産形成期

この時期は、②の段階で少しずつ組み換えてきた収益不動産の質を更に高め、借入金の返済を進めて純資産を殖やしていくステージです。保有資産の内容もこの段階では既に資産価値の高いもので形成されて来ているはずなので、不動産から産まれるキャッシュフローがある場合は単純に余裕資金として認識し、趣味や浪費に廻しても問題ないレベルであると考えられます。新たなリスクは極力とらず、今ある資産を上手に活かして安定純資産を固めていきましょう。

なお、この段階で更に収益物件が欲しい、という場合は、相続を視野に入れない限りはなるべく借入金はおこさず、Cのような物件を現金購入することなどで、リスクを最小限に抑えた更なる資産形成が可能となります。

 

バランスのとれた目線で取り組むことが重要

以上、収益不動産(不動産投資)に関する収支の実態、考え方について筆者の私見も交えて紹介させていただきました。

「不動産は儲かる」といった不動産投資の一般的に考えられている魅力だけを見ていた方にとっては、思った以上に、不動産投資が大変で儲からない(儲かりにくい)か、ということに驚いたかもしれません。

一方、将来の年金不安や資産形成など、現状不安定な経済環境の中でどのような投資していくかということは、今やご自身の人生設計の中でも重要な部分を占めていると思います。何もしないことがもはや安全ではなくリスクとなってしまった現在、ひとつの考えや偏った見方に囚われず、冷静な目線をもって、収益不動産を自身の資産形成に有効に活用が出来ないか等、是非検討してみてください。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。