退職トラブルはどう対処する?状況別対処法と労基署の有効性

「退職トラブルなんて他人事だと思っていたけど、まさか我が身にふりかかるとは…。」

誰しもが円満退職を理想としますが、勤めている会社によってはその願いが叶わないことってありますよね?

退職トラブルは多岐に渡り、「退職を申し出たが、人手不足により認めてもらえない」「退職時に有休消化させてもらえない」「有休消化を伝えていたのに、欠勤扱いになり給料がもらえなかった」など状況によってある程度対処がかわるので、状況に応じた正しい対処が必要です。

今回は、状況別のトラブル対処法と退職トラブルにおける労基署・弁護士の有効性などについてお伝えします。

本記事をご一読いただき対処を実践していただければ、現状の退職トラブルが改善されることでしょう。

退職トラブルがおきてしまったら

冒頭でも簡単にお伝えしましたが、退職におけるトラブルは、状況によってそれぞれ対処が異なりますので、状況にあった対処法をとりましょう。以下では、よくある退職トラブルの状況例をあげて、それぞれに対処法を解説していますので、ご自身の退職トラブルに近いものを選び退職トラブルに対処してください。

状況に応じた退職トラブル対処法

Case1. 企業が強引に引き止めてくる

退職をする上で最も多いトラブルが「企業による強引な引き止め」です。引き止めにもパターンがあり、「人手不足だから辞めてもらっては困る」という比較的柔らかいものから、「辞めたら周囲の社員に迷惑がかかるよ?」「辞めるなんて恩を仇で返すのか!」など脅しととれるような内容まで幅広く存在します。

また、ひどいブラック企業の中には、社員の退職時に退職に伴う金銭の支払いを要求するというものも。ここまで高圧的な態度をとってくるような企業であれば、穏便な退職を目指すのは非常に困難なため諦めて、とにかくそのようなブラック企業からいち早く抜け出すことを目的とした方がいいでしょう。

それでは、このような場合の退職トラブルには具体的にどう対処するのが良いのでしょうか?

対処法:引き止めの程度によっては強引な退職を

退職は会社員(労働者)に与えられた権利であるため、会社側がそれを強引に引き止めるということはあってはなりません。そのため、極論ではありますが会社の承認がなくても辞めることは可能なのです。

民法では当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。と記載されているため、退職の2週間前に退職する旨を会社に通知すれば退職できるはずであり、当然法的には就業規則よりも民法が優先されるため問題ありません。

会社側が非常に高圧的な態度を取ってきた場合は、このような対応をとっても構いませんが、軽く引き止められた程度では、逆に自体を悪化させてしまうため、軽く引き止められた程度であれば、就業規則に規定されている退職手順に従った対応をとるようにしましょう。

強引に退職したとしても、こちらに非がなければ転職先企業で印象が悪くなることはありません。

 

Case2. 業務後任者が決まらない

中小企業では「複数の仕事につき一人の社員」という配置の仕方をしていることが多いため、退職時に代わりに引き継いでくれる人間がいないから、後任を理由に引き止められるというケースが多いようです。

そのような状況で退職を申し出ても、「君の後任が見つかったら辞めてもいい」「君の担当する仕事を引き継ぐ人間がいないから辞めさせられない」などを言われ退職を認めてもらえないでしょう。新しく雇用するにも、いつその人間が現れるかなどの保証がまったくないため簡単な話ではありません。

それでは、業務後任者が決まらない場合は、どのように対処すればいいのでしょうか?

対処法:調整可能な範囲で退職日をずらす

前述でも簡単に触れました通り、このような場合、後任者がいつ決まるのかという保証がまったくないため、後任者が決まるまで退職を留めていてはいつまでも辞めることはできません。だからと言って強引に退職するとは印象がよくならないというのは事実。無闇に事を荒立てても仕方がないので、できる限り穏便に退職するためにも、会社側の意見を取り入れ、なおかつ退職意思も貫き通せるよう、可能な範囲で退職日をずらすという対処をとりましょう。

仮に他企業から内定を受けていたとしても、交渉すれば1ヶ月程度の調整は対応してもらえます。

 

Casa3. 有給休暇を使わせてもらえない

退職日の約1ヶ月前から、これまで溜まった有給休暇を消化しそのまま退職するというのは一般的ですが、有給休暇が溜まっているにもかかわらず、会社側が有給休暇を使わせてくれないというのも退職トラブルの代表的な一つです。

「退職前に有休なんて、他の社員に迷惑がかかるからダメだよ」「退職する人間に有休なんて取らせられない」。

しかし、①入社日から6ヶ月経過している②その期間の全労働日数8割以上出勤している、これら二つの条件を満たしていれば、特定の場合を除き有給休暇を取得することができます。

特定の場合とは、使用者(会社側)に与えられた時季変更権を行使した場合、つまり会社の運営が忙しく社員が有給休暇を取得すると運営の妨げになるような際は、取得時季をずらすように社員に相談できるという権利を使った場合のことを指します。その際は、会社は社員に対して「繁忙期だから、悪いけど有給をずらして取ってもらえない?」や「経営状態が悪いから時期をずらしてもえらえないか?」という相談をきちんとしなければなりません。

これらは、労働基準法第三十九条に明記されており、社員の有給申請に対して「有給なんてとっちゃダメだよ」「うちは有給休暇なんてあってないようなものだから」などと無下に扱うような対応をとった場合は違法性が高いといえます。

(年次有給休暇)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

[出典:労働基準法

対処法:適した相談窓口への相談

有給を取得させないような断り方、社員を圧迫するような断り方をしてきた場合、圧迫の度合いによってはパワハラとみなされることもあり、そんな時は一人で我慢し抱えこむよりも、相談窓口や外部専門機関に相談を持ちかけたほうがより良い結果が得られることが多いです。

社内に窓口が設置されているのであれば、社内相談窓口を利用してもいいですし、社内で相談したことが上司の耳に入ってしまうのではないか?と心配な方は、労働基準監督署や弁護士、労働組合に相談を持ちかけるのもいいでしょう。

何も準備せず相談だけを持ちかけても話しを聞いてもらえますが、実際に対処するのであれば第三者が判断できる証拠が必要となります。断られた際の音声をボイスレコーダーなどで記録すれば、立派な証拠となりますので、相談してみましょう。適した相談先については後述させていただきます。

 

Case4. 繁忙期だけど辞めたい

退職の時期は人によって様々であるため、退職者の中には繁忙期だけど辞めたいという方も存在するでしょう。しかし、繁忙期に退職を申し出ると必ずと言っていいほど、「今は繁忙期だから人手が足りないので辞めてもらっては困る」「忙しい時期だから、時期をずらして」と、こちらの退職申し出をうやむやにしたり、時期を大きくずらすことを要求してきたりと、会社は会社の都合を優先して社員に要求してきます。

対処法:協力しつつも、退職が流れてしまわないよう退職日を決定してしまう

確かに「退職申し出のタイミングや退職日のタイミングは繁忙期を避けて退職を伝える」というのは一般的な退職のマナーであるため、会社側の意見ももっともではありますが、一度辞めたいと思ったら辞めたい気持ちを我慢するのも難しいもの。

だからといって一方的に権利を主張して退職してしまっては、争う形になってしまい退職時のトラブルが余計に大きくなりこじれてしまうので、退職意思を伝えつつも退職日を閑散期に設定するなど、会社側に協力する姿勢をみせつつも、退職意思を貫き通し、できる限り穏便な退職を目指しましょう。

 

Case5. きちんとした給料を支払ってもらえない

「退職を申し出たら会社との関係性が悪くなり、最後の月の給料を支払ってもらえなかった。」このように退職月の給料を支払ってもらえないというトラブルも少なからずあるようです。

本来は、会社側は理由関係なく、労働者に対して支給日に給料を全額支払う義務があります。そのため、仮に即日退職をしたなど、一見労働者側に非がある行動をしたとしても、会社側はこれまで働いた分を支払わなければならなりません。ただし、行動によっては、会社側と争うことにもなりかねませんので以下のような対処で給料を支払ってもらうようにしましょう。

対処法:まずは関係性の修復を、それが無理なら相談を

まず、会社側に話しを持ちかけ、会社との関係性の修復を試みてみましょう。関係性が修復できれば、給料の支払い請求もかなりしやすくなるはずです。しかし、話し合いにすら応じてもらえない、関係の修復など不可能という場合は、当事者間で争っていても状況の改善は難しいので、お近くの労働相談センターや労働基準監督署への相談を試みてください。

 

労働基準監督署はどこまで有効なのか?

こちらの記事でも、前項の対処法でお伝えしたように、状況によっては自分一人での解決だけに固執せず、外部の相談機関に相談することをおすすめしていますが、実際のところ、それら労働問題の相談機関を代表する“労働基準監督署”に相談持ちかけることは、解決や改善の手段としてどこまで有効なのでしょうか?相談者の中には、「相談したらすぐに対応してくれて非常に助かった!」という声がある一方で、「相談しても全く動いてくれず何の役にも立たなかった」という声も存在するので、初めて相談する方にとっては結局どうすればいいのかわかりません。

労働基準監督署を利用するにあたって理解しておくべきこと

そもそも、労働基準監督署の役割は法令違反に対する行政指導を行うこと

仕事での問題が発生したら、「とにかく労働基準監督署へ相談!」というイメージが一般的に浸透しているため、何が起きても労働基準監督署と考える方は多いかと思いますが、そもそも労働基準監督署の役割は、労働基準法などの法令に違反をした企業に対して行政指導を行うことであるため、労働基準法などの法令で定められてないことには対応できません。

このような現実と、労働者の認識のズレによって「なにも対応してもらえなかった」という印象がついてしまう場合があり、これらのことから、労働基準監督署は、企業が法令違反をしていた場合の申告には非常に有効ですが、法令に定められていない労働問題に対してはあまり有効でないことがわかります。

 

「とにかく相談したい」なら、まずは総合労働相談コーナーへ相談を

ご自身の現状が、法令違反なのかそうでないのかわからない場合は「総合労働相談コーナー」という相談窓口に相談してみましょう。「総合労働相談コーナー」とは、労働基準監督署が行う行政指導のような強制力を働かせられるような権限はありませんが、労働でのあらゆる問題の相談に対応し、状況に適した情報を提供してくれる機関です。

ありとあらゆる労働問題に対してカバーしていますので、仕事で問題があった場合はお気軽に相談してみてください。

➡総合労働相談コーナーはコチラ

※上記サイトにアクセスしていただくと、厚生労働省の総合労働相談コーナーのページが開きます。開いたページを下にスクロールしていただければ、各都道府県別の総合労働相談コーナーがまとめられており、お住いの都道府県名をクリックしていただければ、都道府県内に配置されているコーナーの名称や、所在地、電話番号等が表でまとめられていますので、相談されたい方はお近くの労働相談コーナーに連絡をしてください。

 

退職トラブルは、自分に非がなければ転職先でマイナスにならない

いかがでしたでしょうか?退職におけるトラブルが起こると、「次の就職に悪い影響がでるのでは?」と考えてしまい会社側の言いなりになってしまう方が非常に多いのですが、退職トラブルは自分に非がなければ転職先でマイナスになることはありません。

そもそも、わざわざマイナスイメージにつながるようなことを言う必要はないので、転職先に伝えなくてもいいのです。しかし、面接時に転職理由を聞いてきたり、内定が決まった後など状況によっては何かしらを聞かれることもありますので、そのような時は悪口を含めず正直にそして完結に伝えるようにしましょう。マイナスにはならないので、恐れることはありません。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。