FXのリスクを回避するために把握しておくべき全リスクと損失の程度

「FXってリスクが低いから素人でも簡単に稼げるって本当?」多くの方は、「FXは短期間で大きく稼げる」という魅力に惹かれてFXの世界に足を踏み入れるのではないでしょうか?

ここ数年、FXの知名度が高まってきたことに伴い、FXの知識が浅い初心者をターゲットとした「簡単に稼げる」系の悪質な詐欺や広告が大変多くなりましたが、FXが投資である以上リスクがないということは絶対になく、簡単に稼げるというのはあり得ません。確かにFX業者の中には、投資家のことを真面目に考えた比較的リスクの少ないサービスを提供している業者も存在しますが、やはりそのような業者はFXのリスクについてきちんと説明をしています。これからFXを始めるにあたり失敗しない、大切な資産を守るにはリスクの把握そして管理が絶対的に必要と言えるでしょう。

今回は、これからFXを始めるにあたって理解しておくべきリスクと、どのような時に損をするのかというリスクの具体例、FX取引で失敗しないためのリスク回避法についてお伝えします。

FXのリスクとは

FXに限る話ではなく全ての投資に共通していえることですが、投資にノーリスクということはあり得ません。当然様々な投資案件では、投資家から資金をより多く募れるように、できる限り考えうるリスクを事前に排除するものではありますが、それでも排除できないリスクというのが必ず存在するのです。

これは、投資の一つであるFXにも同じことが言えるためFXにもリスクが存在します。リスクを把握した上でFXを始めるのと、リスクを把握せず勢いで始めるのとでは結果に大きな違いがでるので、大切な資金をこれからFXに投じるのであれば以下のようなリスクがあることを事前に把握しておきましょう。

FXを始める前に把握しておくべき全リスク

為替変動による為替差損リスク

「為替差損」とは、為替相場の変動により購入時と売却時の価格に差が出て損失が出てしまうことを指します。FXでは、「安く買って高く売る」「高く売って、安く買い戻す」という売買のタイミングを見極めて、購入時と売却時の価格差で利益(為替差益)を出すことが可能ですが、購入・売却のタイミングを間違えてしまうと為替相場の価格差によって、利益とは逆の損失につながることがあります。

つまり、米ドル/日本円の取引で例えると、これから米ドル/円相場が円安に動くと予想、つまり1ドル=100円が、これから円安の1ドル=120円に変動すると予想し購入、予想通りに1ドル=120円に動いてくれれば20円の利益となりますが、予想に反し1ドル=80円に値動きしてしまった場合は、20円の損失となります。

為替相場の動きは、数ある相場の中でも比較的短期間または短時間で大きく変動することもあるため、状況によっては自分が予想した値動きと全く違う動きをして大きな損失を被ることがあり、FXでは為替の値動きを利用し短期間または短時間で大きく利益をだすことができる反面、短期間・短時間で大きな損失を出してしまうこともあるので為替相場の変動による為替差損リスクがあることを理解しておきましょう。

 

金利変動による金利差損リスク

FXでは、為替差益以外に「スワップポイント(金利差調整分)」と呼ばれる、交換通貨国2カ国間に生じる金利差から利益を得ることができます。各国によって金利も異なり、状況によって金利は変動しますので一概には言えませんが、仮に日本の金利が0.1%、アメリカ(米国)の金利が1.5%の状況で低金利である日本円を売って、高金利である米ドルを買った場合、その2カ国間で生じる金利差が1.4%となり、FXでは取引に応じてこの1.4%が金利差調整分として得ることができます。

しかし、前述の例とは逆に高金利な通貨を売って低金利な通貨を購入してしまうと、金利差分を支払わなければならなくなるため損失となりマイナスになります。金利は国内の景気や物価、海外金利、為替などの市場の金利動向に応じて一定ではないため、通貨購入のタイミングで金利差によって利益が得られていたとしても、相場が急変した際プラスであったはずのスワップポイントがマイナスに転じてしまうこともあるため、FXでは金利差損のリスクがあることも把握しておきましょう。

 

レバレッジリスク

FXには「レバレッジ」という少額の資金で大きな金額を動かせる仕組みがあり、そのレバレッジを利用することによって効率よく資金を増やすことが可能なため数ある投資の中でも比較的短期間で大きく稼ぐことが可能です。

少額の資金で大きな金額を動かせるため資金10万円で100万円分、200万円分の取引ができるといった魅力がFXにはあるのですが、短期間で大きく利益をだすことが可能な一方で、レバレッジを大きくかけている場合は、損失も大きくなります。レバレッジを最大でかけていると少しの為替変動でも命取りとなることもあるので、レバレッジには良い面も悪い面もあることを理解しておきましょう。

 

流動性リスク

流動性リスクとは売りたいのに売れない、買いたいのに買えないという取引相手がみつからず取引が成立しない状況をいいます。米ドルやユーロなど世界的にみても流通量の多い通貨であれば流動性のリスク高くないですが、豪ドルや南アフリカランドなど流通量の少ないマイナー通貨の場合は流動性のリスクが高く、また流通量の少ない通貨は経済状況の影響を非常に受けやすいということができます。

売りたいときに売れないということは決済ができないということでもあるため大きな損失に繋がることも予想できます。

 

ロスカットリスク

「ロスカット」とは、外貨を保有している際、相場の値動きにより含み損が大きくなりすぎた場合に自動的に行われる強制決済のことを指します。ロスカットは、損失が大きく出そうな際に、証拠金が全額なくなり、追加で不足金が発生しないよう、最悪の事態を避けるための仕組みであり、本来は損失を拡大しないための素晴らしいシステムなのですが、為替相場の急激な変動や、売買が成立しなかったためにロスカットができないなど、状況によっては想定以上の損失が出てしまうということもあります。

 

スリップページリスク

「スリップページ」とは、注文を出した際の価格と約定したレート(売買したときのレート)に差がでることを言います。つまり1ドルを100.20円で買いたいと思った場合、100.20円で買い注文を入れたつもりでも、微妙なタイミングのズレによりレートが1ドル=100.21円に値動きしてしまいズレが生じることがスリップページであり、状況によっては不利なレートで取引が成立してしまうことがあります。

取引通貨量によっては、この少しのズレで損益に大きな影響をもたらすことがありますので、FXではこのようなリスクもあるということを把握しておきましょう。

 

システム障害リスク

FXは基本的にパソコンを使用して取引を行います。そのため、使用してるパソコンに不具合が起きたり、ネットの通信が切れたり、サーバーがダウンしたりのトラブル起きた際は取引が行えません。ユーザー側のトラブルもありますが、業者側のトラブルによって一時取引ができない、つまりタイミングによっては利益確定ができずに利益を逃す、または損失を拡大してしまうということがあるので、FXには、このようなシステム障害リスクも伴うことを理解しておきましょう。

 

デフォルトリスク

これはFXに限らず投資の世界で広く共通するリスクですが、口座開設をして取引をしているFX業者の破綻や、FX業者が取引をしている銀行等の金融機関が破綻した場合は取引ができなくなることもあります。

今では、「信託保全」という投資家の資産を守る制度があり、この制度では投資家から預かった資金を分別管理(FX業者の資産とは区別し信託銀行等に委託して管理)し投資家の資産を保全する仕組みになっているため、仮にFX業者が倒産しても預けていた資金が返却されることになっているためひと昔前と比べてデフォルトリスクは低下しましたが、これは国内のFX業者に当てはまることとであって、海外のFX業者には当てはまらないので、海外業者を利用する場合は特に注意が必要です。

 

カントリーリスク

FXでは外国通貨を取り扱うため、その国が経済的に破綻、つまり財政破綻してしまった場合、状況によっては大きな損失を被ることもあります。財政破綻の傾向がある、または財政破綻してしまった場合は通貨価値が大きく下がることとなるため、FXでは国の経済状況が大きく関わっていることを理解し、世界情勢にも目を光らせておきましょう。

 

FXではどのような時にどれくらいの損失が出るのか

これまでもお伝えしてきましたように、FXでは比較的短期間・短時間で大きな利益を上げることができる一方で、様々なリスクがあることから、場合によっては大きな損失がでる可能性もゼロではありません。

しかし、実際初めて見るとそこまでリスクばかりが目立つわけではなく、知識と経験をつけて臨めばリスクに伴う損失も最小限に抑えることができます。逆に知識も経験もなく、なんとなくのゲーム感覚でトレードを始めれば資金が数時間でなくなってしまうということもあるので、それなりにトレードを経験して真面目に取引をしている前提で、どのような時にどれくらいの損失がでるのかを見ていきましょう。

FXで大きな損失がでる可能性がある場合と損失の程度

経済指標が発表された場合

「経済指標」とは、各国の公的機関等(日本の場合は経済産業省や財務省など)が発表する国の経済状況を数値化して表した指標のことです。投資を行う際、将来の為替相場の方向性を予測する材料となるため多くの投資家が予測の参考にします。

多くの投資家が予測の参考にするということは売買のタイミングが集中するため為替相場に日常とは異なる大きな影響がでることがあります。

 

要人の発言によって経済に影響がでた場合

世界各国の重要な地位についているような要人の発言によっても経済に影響がでることがあります。その国の経済政策を担っている担当大臣や、金融政策の中心である中央銀行総裁等、それらの発言や発表は将来の経済予測の参考となるため、多くの投資家は要人の発言を材料に投資を行います。その結果として為替相場に大きな影響がでるのです。

 

自然災害や戦争、テロなど重大な事件が起きた場合

地震や台風に伴う水害などの自然災害や戦争、テロなど重大な事故や事件が起きた場合にも為替相場が大きく変動します。国レベルの自然災害や戦争では、国の政治・経済機能がマヒしてしまうなどの理由から、国の通貨価値が下がり、その影響から多くの投資家が損失回避を目的に売りに走ったりと、相場が急変することがあります。そのようなタイミングで、渦中にある通貨を保有していた場合は大きな損失につながることもあるでしょう。

 

各国、または世界において政治や経済になんらかの問題が発生した場合

前項の場合と似ていますが、各国、または世界において政治的または経済的に大きな問題が発生した場合も当然のように為替に影響がでます。ここ最近では米国大統領にドナルド・トランプ氏が就任したことが大きな変動の要因でした。当選前、トランプ氏が就任したら円高になると一般的に予想されていましたが、トランプ氏の政策発表にドル高円安になり相場が急変、10日経たない間に10円近い値動きとなりました。為替相場の動向予測が当たれば大きな利益となりましたが、外れれば逆に大きな損失となっていたでしょう。

 

為替相場の変動による損失の程度

FX取引での損失は、通貨の取引量や為替レートの値幅、かけているレバレッジの倍率によって大きく変わってきます。

通貨の取引量は一般的に1000通貨や10000通貨と表現されますが、1通貨というのは1円、1ドル、1ユーロなどのことを表し、つまり米ドル/円(1ドル=100円と仮定)の取引で1000通貨のポジションを取るためには、100円×1000ドル=10万円の資金が必要となるのですが、ここに国内最大倍率である25倍を設定すると10万円の資金で10万円×25=250万円の取引がFXでは可能となります。

レバレッジをかけていない状態で損益を計算してみましょう。前述しましたように、米ドル/円の取引で1ドル=100円で1000通貨を購入したと仮定し、1ドルが101円に変動したとします。すると利益は(101円−100円)×1000通貨=1000円となるのですが、これが逆に1ドルが99円に変動した時は(99−100)×100通貨=−1000円となるため1000円の損失となります。これをレバレッジ25倍で取引していた場合は25,000円の利益もしくは損失になっていることになります。

 

FXのリスクを回避するには

それではFXのリスクを回避するにはどうすればいいのでしょうか?いくら資金効率がよく運用益が大きくてもリスクが高くものの短時間で資金が消えてしまう可能性があるのでは怖くて取引できません。FXを始めるにあたって想定できるリスクをどう回避していけばいいのかをみていきましょう。

FXのリスク回避法

為替相場が大きく変動しそうな時は取引しない

取引に慣れてきたら為替相場が大きく動くタイミングはチャンスとなるかもしれませんが、しっかりとした知識と分析力を持ったトレーダーでも100%相場の動向予測を的中させることは不可能なので、取引に慣れないうちは特に、為替相場が大きく変動しそうな時は取引をしないようにしましょう。

前述でお伝えしましたように、経済指標が発表された場合や要人の発言、自然災害や戦争、テロ、政治的または経済的問題等、中には事前に予測できない突発的なものもありますが、突発的な場合を除き多くの場合は事前に経済指標カレンダーやニュース等での情報収集で察知可能です。トレードに慣れ予測精度が上がればこの場合に限りませんが、始めたばかりでよく分からないのであれば、このような局面では取引をしないようにしましょう。

 

損切りラインを決めておき守る

「損切り」とは、含み損が生じている損失額を確定すること、つまり為替が○○円まで下落し、その基準を超えそうであれば確定するということです。損切りラインを決めておかないと「今の下落は一時的なので、再び戻るのでは?」と期待してしまい、予測と反した際にズルズルと損失額がふくらんでしまいます。FXは自分との戦いと言われているほど、損失が膨らむと取り戻したくなり資金を追加しどんどん泥沼化して大損するということがありますので、そうならないためにも損切りラインを決めておき、決めたラインは絶対に守るようにしましょう。

 

相場が転換するポイントを的確に予測できるよう知識と経験を身につける

相場の流れを予測するには、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析等の分析法が一般的です。ファンダメンタルズ分析とは、国や企業などの経済状況を表すことであり、景気や金利の動向から将来の為替相場の値動きを予測する分析法です。一方、テクニカル分析とは、過去の値動きをチャートで表して、そのチャートから将来の相場変動を予測するものであり、多くのFXトレーダーがこの手法で分析しています。

これらを勉強して相場が転換するポイントを的確に予測できる能力が身につけば、それに勝るリスクヘッジはありませんので、少しずつ学んでいきましょう。

 

自動ロスカットで相場変動のリスクは回避可能

為替相場の変動により含み損が増し、証拠金維持率が一定水準を下回った場合にはFX業者から「マージンコール」と呼ばれる警告が入り、さらに証拠金維持率が下がるとFX業者より強制定期にロスカットされます。

FXのリスクである「ロスカットリスク」でもお伝えしましたが、ロスカットは損失が大きく出そうな際に、証拠金が全額なくなり追加で不足金が発生しないよう、最悪の事態を避けるため自動的に強制決済が行われるため相場変動リスクを回避することができます。ただしロスカットも相場が急変したときなど100%成功するわけではないので注意が必要です。

 

リスクゼロの投資は存在しない

いかがでしたでしょうか?FXは他の投資案件・金融商品に比べて短期間または短時間で大きな利益を出すことも可能性ですが、リターンに比例してリスクもあります。

また、FXは一般的にギャンブル性の高い金融商品と言われていますが、実際はそうではなくFXをまともに行うには過去の為替レートデータや、為替に影響のある経済ニュースの収集等、様々な情報をまとめ分析し、その結果に基づいて売買を行うため、完全に運任せで行うようなギャンブルとは異なります。

しかし、FXや為替の知識を持たず、「チャートが右肩あがりだから買い」「ちょっと停滞ぎみで下がりそうだからとりあえず売り」のように何の根拠も持たずにポジションを持つような取引をするのは当然ギャンブルとなるでしょう。

きちんと知識をもって、しっかりとした情報収集の元で取引を行うのと、知識をほとんど持たずに運任せで資金を投じるとでも当然リスクの大小が変わってきますので、知識と経験を積めばリスクを抑えられ、知識も経験も持たず楽をしたいだけなら大きなリスクを伴うということをしっかりと認識して、それなりの覚悟をもってFXの世界に足を踏み入れれば失敗しないでしょう。

「リスクゼロの投資は存在しない」と覚えておき、FX関連詐欺に引っかからないよう注意し、リスクを理解・把握した上で安全な取引に取り組みましょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。