資金調達の方法とは?企業経営における資金調達の具体的な方法

資金調達の方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

会社を起業する際、または事業運営をする中で、経営者の特に大きな悩みの一つとして資金調達があげられると思います。資金調達といえばすぐに銀行を思いつく方も少なくないと思いますが、実は会社の資金調達手段には状況に応じて銀行以外の選択肢も数多くあり、これを知っているか否かで将来の会社経営に及ぼす影響は大きく変わってくる可能性があります。

この記事では、特に起業家(経営者)が知っておくべき資金調達方法の種類や利用法について紹介するとともに、それぞれの特徴について解説したいと思います。

企業経営における資金調達の方法とは

企業経営における資金調達の方法は決して銀行のみの選択肢ではありません。銀行含め資金調達の方法には①親族や知人友人等からの資金援助や、②助成金・補助金等による資金調達③公的金融機関からの借入④民間金融機関からの借入⑤社債の発行による資金調達、など大きく分類しても5つに分ける事ができ、さらにそれぞれ複数の資金調達先が存在しますので以下にてそれぞれの資金調達方法をより具体的に見ていきましょう。

具体的な資金調達の方法

資金調達方法①:親族、知人からの資金援助(借入れ、出資)

皆さんが起業をするにあたって、必要な資金を調達するのにまず最初に頭に浮かぶのは親族や知人からお金を借りることかもしれません。実際に私の周りの企業家の方々も、「最初の資金は家族から借りた」という方は結構多く、身内が一旗あげるのを是非手助けしたいと暖かく支援してくれることも少なくないようです。このように近しい人から何かしら資金援助を受けれる場合、これを活用しない手はないでしょう。

すべての方が親族や知人からの支援を受けられるものではないため、このような資金調達が出来る方は本当に幸運です。しかしながら、この種の資金援助を受ける場合、その受け方については特に注意が必要です。

例えば、親族(親)から起業のための資金を出してもらう、というケースで説明しましょう。子が起業のための資金として親に300万円を借り受ける、という場合です。ここでは敢えて「借り受ける」と記載しましたが、実際にここが曖昧になっていることが多く、特に親族や知人からの事業資金の受け入れが後々に個人間の贈与と見做され、贈与税の対象となる可能性(リスク)があります。

贈与税とはその名のごとく、ある者からその相手方に対し、経済的価値のあるモノを贈与した場合にそれを受け取った者が負担するべき税金のことです。従って、本来は返済するつもりで借り受けた事業(起業)資金、企業に対する出資金として受けた資金であれば、贈与税の対象とはならないのですが、その金銭の授受の証拠をきちんとした形で残しておかないと、後々税務署から言われもない贈与税の支払いを示唆される可能性があるのです。

このリスクを避けるためには、親族、知人から資金を出してもらう段階で、前章で説明した、①誰が、③どのような資金を、調達したのかをきちんと考え、その証跡を残しておく必要があります。

ここでもいくつか方法はありますが、筆者が提案する選択肢としては、A: ①経営者個人ではなく会社が、②個人たる親族、知人より、③借入金として、資金を調達する、という方法と、B: ①会社が、②個人たる親族、知人より、③出資金として、資金を調達する、という方法です。少し詳細を見ていきましょう。

メリット デメリット
A:借入金として調達 利息の支払い額は全額会社の経費に計上可能。(結果的に利益が圧縮されるため節税効果が見込める) 会社の負債項目として計上されることから、外部からの資金調達を行いにくくなる。
B:出資金として調達 借入金ではないため、法的返済義務が生じない。 会社の持分を出資者が保有することとなり、経営に口を挟まれても文句は言えない。

いずれの場合も、上述のとおり税務の観点から問題が生じないように、親族や知人が資金提供者であっても契約書等の書類は作成し、いくら(金額)をどのような建前(借入金か出資金かなど)で資金供与を受けたのか、については必ず証拠を残しておきましょう

 

資金調達方法②:助成金や補助金の活用

起業や事業のための資金調達手段として見逃せないのは助成金や補助金です。

助成金とは「融資と違い、返済義務のない国からもらえるお金」のことをいいます。一方、補助金は、特定産業の育成や施策の奨励など、行政の目的達成のために、国や地方自治体などが公共団体・企業などに交付するお金のことをいいます。両者の明確な違いはないのですが、補助金の方が申請期間や募集枠などについてやや制限があるようです。

いずれにせよ、返済義務のない資金を調達できる可能性という点では非常に魅力的な制度といえますが、一方でこれらを受給するためには当たり前ですが申し込みが必要となります。事業(起業)内容やタイミングによってこれらの助成金や補助金の募集状況は変化しますので、国や地方自治体の助成金、補助金にかかる通達(掲示)などはこまめにチェックし、ご自身が申し込める助成金、補助金の有無については頻繁に確認されることをお勧めします。

また、助成金や補助金についてはあまりに広範にわたり素人ではなかなか簡単には捕捉できないことから、これを専門に取り扱うコンサルティング会社もあるようですので、場合によっては費用対効果を考慮し、このような外部のコンサルタントを雇うのも一つの手でしょう。

 

資金調達方法③:公的金融機関からの借入れ(融資)

融資を受けるというと、まずは通常の銀行を思いつく方が殆どかもしれません。しかしながら、特にスタートアップの企業では事業実績がないことなどから、通常の金融機関では事業資金としての融資をなかなか実行してもらえないというのが実態です。

このような起業したての法人や、設立して間もない事業実績に乏しい法人においては、公的金融機関(またはそれに準ずる機関)の扉をたたく方が融資の可能性が広がります。具体的には、日本政策金融公庫や商工中金などがそれにあたります。

これらの機関は、中小企業を中心に事業推進、拡充のための積極的な融資活動を実施しており、特に、日本政策金融公庫においては、文字通り「創業者(起業家)支援」を謳った融資制度まで用意しているなど、スタートアップ企業に対する融資も積極的です。

一方、これらの金融機関では、民間のそれとは異なり融資金額の上限がそれほど高くないなどの制限もあり、これらの公的金融機関と民間金融機関はご自身の企業ステージに合わせて上手に切り替える/使い分ける、必要があるでしょう。

 

資金調達方法④:民間金融機関からの借入れ(融資)

やはり一般的に資金調達といえば、民間金融機関が馴染み深いと思います。ただし、ひとえに民間金融機関といっても都市銀行や地方銀行、さらには信金、信組など多種多様です。これらの金融機関には何か違いがあるのでしょうか?以下、それぞれの特徴を簡単に説明します。

都市銀行

三菱、三井住友、みずほ、りそなといった都市銀行からの事業融資は民間金融機関の中でもかなりハードルが高いといえます。最近では、起業したての法人の場合ですと、これらの金融機関で口座を開設することすら難しくなってきており、従って、よほど担保となるような優良な資産を保有しているといった特殊事情がない限りは、全く事業実績のない企業がこれらの銀行から事業運営にかかる資金調達をすることはほぼ不可能といえます。

昨今では楽天銀行、ジャパンネット銀行などに代表されるような使い勝手の良いオンライン専用銀行などの出現~利用者(社)増加により、以前ほど会社の取引銀行名に信用力を見出す傾向は少なくなっています。とはいえ、「都市銀行に口座を有している」ということが、依然として企業の信用として見られることもあるため、法人を設立した際は、資金調達等の可能性はなくとも、これらの銀行で口座を開設することは少なくとも検討に値するでしょう。

地方銀行

地方銀行とは、横浜銀行や千葉銀行などに代表されるように、各都道府県に本店がある銀行で、地域経済に大きな影響力を持つ金融機関をいいます。地方銀行は、通常1県あたり1~2行というケースが殆どですが、その名のごとく地元の企業や住民、行政機関などとの取引を中心とした緻密な営業ネットワークを有しています。

上述したとおり、この地方銀行は、地元の企業や住民のための金融機関であるため、特に特定の県で起業をする、もしくは取引をする、といった場合は、これらの地方銀行を訪ねてみても良いかもしれません。ただし、地方銀行においても都市銀行とまではいかないまでも、起業したての法人に対する融資のハードルは低くはないため、事業融資などの資金調達に過大な期待は禁物です。

信金・信組

信用金庫、信用組合は、地方銀行以上に地域に密着した街の金融機関です。法的には銀行とは異なる法律で規制された金融機関ですが、その機能は殆ど銀行と変わりがありません。

この信金、信組は街の活性化、相互扶助を目的とした組織であることから、民間金融機関の中では、起業の際の資金調達で最も可能性がある先でとも考えられます。都市銀行や地方銀行と異なり、顧客の層も比較的小規模な企業も多いため、長く付き合うことで日ごろの事業の相談などにも親身にのってくれるような良好な関係性を築いていくことも可能な金融機関といえます。

以上、簡単に民間金融機関の概要について説明しましたが、やはり起業時における資金調達という点では、公的金融機関に軍配があがります。金融機関における資金調達の理想的な形としては、起業時もしくは設立間もない時点では公的金融機関で融資を受け、事業実績が上がってきたタイミングでより大きな金額での融資が可能となる民間金融機関に切り替えるという具合にそれぞれの機関の特徴を踏まえて使い分けることです。

 

資金調達方法⑤:社債の発行による資金調達

ここでは、起業したての法人には少しハードルが上がりますが、もう少し会社の規模が大きくなり、会社に対する信用ができてきた場合の資金調達方法として、社債(少人数私募債)を紹介します。

少人数私募債とは、会社が身近な少数の人から直接事業資金を募るために発行する社債で、通常の社債発行に伴う届出や報告の義務などがなく、自分たちだけで時間と費用をかけずに簡単に発行することができる制度です。ある意味、1)親族、知人からの資金援助(借入金)に近いですが、もう少し調達先も広範で金額規模も大きめなケースが多いようです。

なお、少人数私募債による資金調達の場合、担保や保証人も不要で、かつ一定の期日での一括償還のため、事業設備の投資資金として長期安定資金の調達に向いています。一方、決められた時期に元本全額の償還が発生するため、償還期に資金繰りが逼迫する可能性も生じるため注意が必要です。

 

資金調達を成功させるには

前章にて、資金調達の方法をお伝えさせていただきましたが、方法がわかったからといって資金調達が成功するかどうかはまた別の話です。親族や知人・友人など親いところからの調達ではこれまでの関係性が重要となってきますが、その他金融機関からの借入等では本人または企業(事業)をフラットな角度で見られますので、どのような点をどのように見られるのか把握しておき対策を立てることが資金調達成功のためには重要です。

ある程度、経営年数を積み重ね金融機関からの信用があれば成功率は高くなりますが、起業時又は設立間もない企業における資金調達の場合は、社会的な信用がほとんどない前提での資金調達となりますので、少しでも資金調達(融資)の可能性を高めるためにも以下内容を参考にしてください。

資金調達を成功させるために意識すべきポイント

本人の経歴(ノウハウ、スキル)と新規事業の関連性

公的、民間問わず、金融機関が事業(起業のための)融資を行う際の判断項目はいくつかありますが、意外に見落とされがちな点がご自身(起業家)の過去の経歴とこれから立ち上げようとする事業の内容です。

特に公的金融機関では、事業そのものの収益性は当然のことながら、申込者の過去の経歴がその事業にどのように活かせるのか、という点を大変重視しているようです。例えば、サラリーマンから独立して起業をするような場合であっても、過去の仕事が新規事業でどのように活かせるか、経営者が会社を軌道にのせるためにご自身のスキルやノウハウは関連性があるのか、といった具合です。

もちろん必ずしも自身の過去の経歴とは全く関係ない事業を立ち上げる、という例は少なくないと思いますし、これだけで判断されるわけではありません。しかしながら、金融機関としては、この関連性を見ることで、その経営者が立ち上げる事業が失敗しない可能性という部分を判断する一つの材料にはしているということは事実です。

従って、どんなに関係性がないような場合においても、何かしらのストーリーを作るなどして、これまでの経験をいかに新規事業に活用していくことが出来るのか、といった内容はあらかじめ準備しておきましょう。

 

本人(個人)の誠実さ、人間性

金融機関が新規事業の成功の可否を正確に推し量るのは相当に困難であると言わざるをえません。もちろん銀行の融資判断にあたっては、提出された詳細な事業計画や資金計画、担保など、全ての資料をじっくり吟味するわけですが、結局これらは計画でしかなく、全てが計画どおりいくかどうかを判断するのはどんなに経験を積んだ融資担当者といえども完全ではありません。そんな中、事業計画以外にどのような点が融資可否の判断の材料になるのでしょうか?

恐らくここで最も重要視されるのは、本人(起業する者)の人間性(人物像)であるといえます。融資の申し込みの段階から書類授受におけるちょっとした打ち合わせに至るまで、融資担当者もしくはその関係者は、あなた自身の人間性、立ち居振る舞いなど、あなたが思う以上にチェックしています。

この人間性というのは一言で説明するのは大変難しいですが、結局判断のポイントとしては、「この経営者は、きちんと経営に向き合い、責任をもって事業を維持・継続することが出来るのか」ということです。これは見方を変えれば、将来何か事業に問題が生じても真摯に銀行と会話が継続できそうな人物かどうか、ともいえるでしょう。うそのような話かもしれませんが、身なりをきちんと整えて誠実な人物を演出するだけで、融資担当者の印象は大きく変わり、協力的になってくれることも少なくありません。

 

融資担当者のための材料を出来るだけ多く準備

基本的な話ですが、融資を受けようとする金融機関に対し、ご自身の事業が将来にわたって成功するであろうことをアピールすることは大変重要であり、誰しもがそのために事業計画といった金融機関向けの資料作成は念入りに行っていることと思います。

融資担当者は申込者から提出されたこれらの資料をもとに、社内(銀行内)で審査担当者に融資を申請するためのストーリーを構築していきます。これがいわゆる稟議(リンギ)というものですが、ここでは担当者の創造性をいかに発揮させられるかが申込者としても勝負です。

従って、担当者に対しては、直接事業に関係しないであろうことであっても、自身の周りの間接的な協力者、コネなど、少しでも事業成功の鍵になりそうなネタがあれば、出来る限りそれを伝えていくことが大事です。材料が多ければ多いほど、その担当者は彼らなりの融資成功のためのストーリー(稟議)を描きだし、審査担当を説得しやすくなるからです。

 

資金調達は簡単ではないが効率的な事業運営にはかかせない

以上、企業経営をするにあたって起業家が知っておくべき基本的な資金調達方法の種類や具体的な内容、資金調達を成功させるために意識していただきたいポイントについてご紹介させて頂きました。

企業経営における資金調達は必ずしも簡単なものではありませんが、資金調達を成功させ、調達した資金を有効に活用することができれば飛躍的に事業を拡大することができますので、資金調達先、方法それぞれの特徴を踏まえ、効率的かつ効果的な新規事業の立ち上げ、運営のための本稿の内容を是非参考に資金調達に臨んでください。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。