国立大学は授業料免除が可能?制度の利用法と利用上の注意点

入学する大学によって必要な学費は大きく異なりますが、これまでの小学・中学・高校と比較すると国立でもそれなりな金額がかかり、さらに県外の大学に通い一人暮らしをしながら通学するともなると倍以上の費用が必要になり、基本的に多くの学費がかかります。

項目/区分 国公立大学(自宅通学) 国公立大学(自宅外通学) 私立文系(自宅通学) 私立文系(自宅外通学) 私立理系(自宅通学) 私立理系(自宅外通学)
初年度 約175.8万円 約345.7万円 約248.9万円 約418.8万円 約284.0万円 約453.9万円
二年目以降 約93.9万円 約218.8万円 約142.2万円 約267.1万円 約178.0万円 約302.9万円
4年間総額 約457.4万円 約1002.1万円 約675.5万円 約1220.1万円 約818.0万円 約1362.6万円

[引用・参考:All About マネー「大学4年間でかかる学費・生活費はいくら?」 日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果 平成27年 教育費負担の実態調査結果」]

しかし、これでは勉強する意欲が高くても家庭の経済状況によっては断念せざるを得ない状況も生まれてしまいます。しかしそんな状況を避け、すべての学生の修学機会を他の学生と平等にするために国立大学等では一部の学生を対象者に授業料の免除または減免を行っているのです。

今回は、授業料免除をスムーズに受けられるよう国立大学における授業料免除の利用方法や利用上の注意点についてお伝えします。

国立大学の授業料免除について

冒頭でも述べましたように、国立大学等では修学する意欲と能力があるにもかかわらず、経済的な理由により授業料を支払えない学生に対して授業料の免除または減免という措置をとっています。

国立大学というと学費が安いイメージがありますが、それは過去の話。昭和50年代 では年額18万円、平成元年では年額33万9,600円と確かに安かったのですが、現在では入学金に28万2,000円、年間の授業料が53万5,800円と、卒業までの4年間の総額は242万5,200円にもなります。この金額は最低限の学費ですが学部やコースの違い、その他諸経費を入れると金額はさらに膨れ上がるのが現在国立大学に通うために必要な金額です。この金額は平成元年の私立大学の授業料年額57万584円とさほど変わりません。

国立大学は学力基準のハードルが高いですが、今では家計の観点からもハードルが高いといえます。授業料の免除もしくは減免の対象となるなら活用したいものです。以下、授業料の免除・減免の対象条件や申請方法について解説しています。

国立大学の授業料を免除できる条件

国立大学の授業料免除・減免の条件は家計の所得基準だけでなく、学力基準2つの基準を満たす必要があります。文部科学省が全国の国立大学に向けて『授業料免除選考基準の運用について』という形で選考基準を設けていますが、実際の運用は各大学が実施するため内容が多少異なります。基準詳細は各大学により異なり年度によっても変わる場合があるので進学予定の学校に問い合わせ最新の情報を確認しましょう。以下は大学で定められている基準の実例なので参考にしてください。

【千葉大学授業料選考基準】

[免除対象者]

□次の事情により授業料の納付が著しく困難であると認められる場合

  • 経済的理由によって納付が困難であり、かつ、学業優秀と認められる場合
  • 授業料の納期前6月(入学者は入学前1年)以内において、学資負担者が死亡した場合、又は学生若しくは学資負担者が風水害等の災害を受けた場合。

 

[選考基準]

<引用:千葉大学『千葉大学授業料免除選考基準』>

上記表の家計基準中で、「総所得金額」と「特別控除」額という言葉について勘違いしやすいポイントなので補足しておきます。

[総所得金額]

ここで言う「総所得金額」とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額で世帯で合算したものを指します。会社員で例えると、収入金額とは会社から受けとった金銭と現物支給(会社から受けとった商品や土地、建物など)を合わせた金額です。そして必要経費とは、給与所得控除額のことを指します。これらを踏まえた上で年間の給与収入が500万円の場合で上記表の必要控除計算式に当てはめてみます。

上記金額は一人あたりの給与金額ですが、これを世帯で合算した金額が「総所得金額」となります。

[特別控除額]

「特別控除額」とは上記表のように、世帯を対象とする控除と、本人を対象とする控除の2つがあります。

世帯を対象とする控除は、母子家庭・父子家庭、就学者がいる家庭など世帯の状況に対して当てはめられる控除です。母子・父子家庭なら特別控除額4万9,000円、就学者がいる家庭なら、小学生一人につき8万円、中学生一人につき16万円など状況条件により定められています。

本人を対象とする控除は、大学に自宅から通学している場合は28万円、自宅以外の場所から通学している場合は72万円が控除されます。特別控除額に関してより詳しく知りたい方は「文部科学省『授業料免除選考基準の運用について』(二)特別控除額」を御覧ください。

 

国立大学の授業料免除を利用するには

申請方法の詳細は各大学により異なりますが主な流れは以下になります。

国立大学の授業料免除の申請から支払いまでの流れ

まずは授業料免除の申請書類を入手する

まず、授業料免除の申請書類を入手します。ほとんどの大学で申請書をホームページにてダウンロードする覧が設けてあるか、入学手続き関連書類にまとめて同封してあるか、大学の窓口にて書類を手にいれることができます。

 

必要事項を記入し、証明書類等と併せて提出する

自身の状況にて適した申請書類に必要事項を記入します。記入が終わったら各大学により定められた手続き期間内に申請書とその他必要証明書類等を併せて提出します。一般的には前期と後期別々に申請する必要があり、前期だと新入生は入学手続き時、在学生は2月中旬ごろ、後期では7月〜8月にかけてが申請期間です。

 

申請が完了したら免除差額分を支払う

各大学により異なりますが、申請が完了したら6月〜7月に免除額が差し引かれた残りの金額を支払います。全額免除の場合は手続きをする必要はありません。以上が申請から免除の流れです。

 

授業料の免除には人数制限に注意を

授業料の免除・減免は文部科学省が基準設定しているものの、実際に運営しているのはそれぞれの大学です。したがって大学ごとに授業料免除の予算は決められており、授業料免除の制度は予算内での運用となるため、仮に対象基準を満たしていたとしても免除・減免措置を受けられない場合があります。選考基準はもちろんですが、制度利用の制限枠も事前に確認し頭に入れておきましょう。

今では国立大学の学費もそれなりに高額なため、対象に当てはまるのでしたら前向きに活用することをおすすめします。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。