事業計画書の書き方|融資に強い計画書の書き方とポイント

事業計画書の書き方について解説します。事業計画書は、会社経営において非常に重要な役割をもつ計画書です。経営の指標という意味でも大切ですが、金融機関から融資を受ける際にもポイントとなる書類です。本記事では、全業種に共通するベースの書き方と、各事業におけるポイントについて解説します。

事業計画書は、会社経営において非常に重要な役割をもつ計画書であり、経営の指標という意味でも大切ですが、金融機関から融資を受ける際にもポイントとなる書類です。

事業計画書の書き方の基本を改めて理解することにより、結果的に融資審査などの際に強くなる事業計画書を書くことができます。今回は、事業計画書の書き方と業種別事業計画書作成のポイントについてお伝えします。

これから独立・起業をする、すでに独立・起業しているけど資金繰りに困っているという方は、ぜひ本記事をご一読ください。

そもそも事業計画書とは

事業計画書とは、これから開始する事業の内容や、概要、経営方針や財務計画、今後の展開などを3〜5年分まとめた計画書のことです。事業計画書は銀行や日本政策金融公庫、またはベンチャーキャピタル(VC)から資金調達する際に提出が必要になりますが、それ以外で提出義務はありません。

「事業計画書作成目的=資金調達のため」と捉えている方が多いので借入をする際に事業計画書を作成する方がほとんどで、そもそも資金調達が必要ない方は作成しないことも非常に多いです。間違いではないのですが、事業計画書は基本的に自分自身が事業計画を整理するために作成するものであり、それにより自身の事業を客観的に捉えることが可能になるため今後の事業運営に大きく関係してくる大切な計画書なのです。それでは、以下より事業計画書のメリットについてみていきましょう。

事業計画書作成のメリット

思考整理ができる

事業計画書を作成したことがない経営者の話を聞いていると、頭の中にビジョンや今後の展開はあるものの、整理されていないためイマイチ伝わってきません。思考すること自体は大変素晴らしいことなので、そこからもう一歩、頭の中にある今後のビジョンや展開を事業計画書という目に見える形にすることで、思考が整理されより明確にすることができます。

 

ぶれない経営ができる

事業計画書を作成する際に、経営方針や会社の将来像も決めます。これらを明確化することにより今後の経営に軸ができ、判断や決断にぶれがでず一本筋の通った経営が可能になります。

 

PDCAサイクルを正しく回せるようになり事業成功率が上がる

事業計画は3〜5年先までは見通して計画を立てます。計画を立てることにより経営における指標ができるため、「計画と現実に差がないか」を常にチェックすることができるのです。計画を立てていなければ、事業運営の現在地はいまどのあたりなのか、そもそもいいペースで運営できているのか、通常よりも遅いペースなのか指標がないため判断することができません。

指標があって初めてPDCAサイクルを正しく回すことができるようになるため、計画を作成し正しくサイクルを回すことは、最終的に事業成功率アップに繋がるのです。

 

マーケティングを効果的に行うことができる

事業立ち上げ、運営をする上でマーケティングはかかせません。マーケティングにかかせない市場・顧客・競合・自社分析ですが、事業計画が明確になっていない場合、自社にとってどこが競合なのか?どのような人たちが顧客なのか?自社の強みや弱みはなんなのか?なども明確になっていないため、正しいマーケティングを行うことができません。

したがって、事業計画書を作成し情報を明確化することはマーケティングを正しく効果的に行うのに必要なことなのです。

 

資金調達が円滑に進む

銀行や日本政策金融公庫、ベンチャーキャピタルから資金調達をする際に事業計画書の提出を求められます。その際に実現性の高いしっかりとした事業計画書があると信用をうけることができ資金調達がスムーズに進みます。

 

マイナス箇所を顕在化することができ改善するこができる

事業計画書を作成すると事業内容やビジョン、財務計画から今後の展開まで全体を通して見ることができるため、自身の事業を客観視できるようになります。その中で「頭ではなんとなく行ける気がしていたものでも数字に落とし込んでみたら不可能だった」などのズレやその他マイナス箇所を顕在化できるため事前に改善することができるようになります。

 

危機を事前に予測することができる

3〜5年先の計画を立てると運営していて起こりうる不測の事態をなんとなく予測することが可能になります。前述したマイナス箇所もこれにあたりますが、他にも3〜5年先に起こる経済動向からくる影響などもある程度予測できるので事前に覚悟・準備することができるのです。

 

事業計画書と創業計画書の違い

金融機関へ融資の申請を行う際、基本的に事業計画書の提出をおこないます。ですが日本政策金融公庫に融資申請する場合は「創業計画書」の提出を求められるのですが、事業計画書と創業計画書では何が違うのでしょうか?

実は、事業計画書も創業計画書も基本的には似たようなものですが、決定的な違いがいあります。それは、事業計画書は自社のために作成するものに対して、創業計画書は提出先の金融機関のために作成するということです。そのため、創業計画書には、創業の動機や経営者の略歴、セールスポイントなど会社の紹介文のようなものを記載する項目が用意されています。

創業計画書という名前ではありますが、実はこの資料の役割は「融資申込書の一部」のようなものです。日本政策金融公庫では創業計画書含めるその他提出書類を提出完了次第、面談という流れになります。

 

事業計画書はどのように書けばいいのか

それでは事業計画書には具体的にどのような内容を記載すればいいのでしょうか?

実は事業計画書には決まった書式や様式はありません。定まったものがないので作成に頭を悩ませますが、形式が決まっていないからこそ形式に囚われない自由で効果的な事業計画書を作成することができます。事業計画書作成の目的である、

・自社の強みや弱み、今度の戦略などの思考整理

・資金調達の実現

・事業開始後の評価指標

これらを強く意識し、以下の項目を事業計画書に記載しましょう。

事業計画書の書き方

経営理念(経営理念/経営ビジョン

経営理念やビジョンは、事業を運営する上で経営の軸となるため、明確に決めておく必要があります。さらにビジョンは経営者の「想い」として共感を生むため、協力者を募りやすくなるなどのメリットもあるので決めておいて損はありません。

 

事業概要(事業内容)

事業の内容や提供するものをわかりやすくまとめましょう。

 

取扱製品またはサービス(製品サービス概要/競合他社との比較/仕入先/販売先)

取扱い製品やサービスの説明をわかりやすくまとめます。製品やサービスの内容、価格などを表などにまとめるとより明確になります。

 

マーケティング

業界市場の動向や成長性、顧客ニーズや属性、競合や自社を分析した上で今後のマーケティング戦略を以下の要素を元に明確にします。

・市場顧客分析(市場動向/市場成長性/顧客ニーズ/顧客属性/製品サービスに影響を与える外部要因)

・競合分析(競合他社/競合売上/シェア/競合他社製品サービスの強み弱み/顧客ニーズへの取組み/業界ポジション)

・自社分析(自社強み弱み/自社に及ぼす脅威)

・戦略と実行手段(ポジショニング/販売手段)

 

資金計画(損益計画/損益分岐点/返済計画)

先を見据えた損益計画や損益分岐点を明確にし、スケジュールを記載します。

 

行動計画

資金計画を元にそれを実現する行動計画を立てます。

 

融資に強い事業計画書を書くには

融資に強い事業計画書とは、必要な情報がしっかりと練りこまれていて、なおかつ第三者が見て理解しやすいことが前提となります。さらに以下のポイントを意識して作成することが大切です。

実現性の高い計画を立てる

事業計画を立てる際ついつい気持ちが大きくなりすぎて現実的ではない計画を立ててしまう方がいますが、計画は実現できなければ意味がありません。だからといって計画のハードルを下げすぎるのも事業の魅力が減ってしまうためおすすめできません。実現性の高い計画は金融機関から見ると融資を回収できる確率が上がる計画なため信用があがり融資が円滑に進む可能性が上がります。自身の事業をしっかりと理解し実現性の高い計画を心がけましょう。

 

行動計画を具体的に立てる

立てた計画は実行して初めて意味をなします。しかしいくら素晴らしい計画を立てたとしても所詮計画でしかなく、それが評価されることはありません。「今なにをすべきで、この時点ではなにをすべきなのか」といった計画を現実のものとするための行動計画をより明確にまとめると非常に信頼性の高い計画となり実現性も高まります。

 

項目ごとに要約を設ける

前述しましたが、事業計画書は第三者がみてもわかりやすく作成することが大切です。多くの情報を盛り込むとどうしても初見では理解しづらくなります。したがって各項目に要約を設け、パッと見て分かりやすいような作りにしましょう。

 

事業計画書は常に見直しが必要

事業計画書は作ったら終わりではありません。作成当初は計画を明確に頭に入れるために毎日でも目を通しましょう。そして事業が回り出したら事業計画書を見直していきます。どんなに綿密な計画でも、計画は未来の予想でしかありません。100%計画通りに行くことはまず無いので、常に見直しが必要です。毎日コロコロ変える必要はありませんが、週に1回または月に1回でもいいので、計画と現実にズレが無いか確認し、なおかつ計画当初と状況や環境が変わった際には、それに柔軟に対応して計画書も更新していきましょう。そうすることにより事業成功に近づける素晴らしい事業計画書が出来上がります。

 

業種別事業計画書作成のポイント

事業計画書は業種により作成するポイントが少し違ってきます。以下業種別に事業計画作成のポイントをまとめましたので、ご自身の業種にあったものを参照してください。

業種名 記事リンク
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作り込んだ事業計画書は共感を呼ぶ

以上が事業計画書の書き方と融資に強い作成のポイント、業種別書き方のポイントについてです。細かく明確にする項目が多数あるため、大変ではありますが作り込む労力に値するメリットは十分にあります。頭の中にある程度イメージしているかもしれませんが、イメージと現実では必ずといっていいほどズレがでます。さらに事業計画書は自分のため以外にも「相手のため」という役割ももっています。作り込んだ事業計画書は共感を呼び人の協力を得ることができ事業拡大を可能にします。金融機関の担当所も同じで、作り込むことは信用につながるため融資審査もスムーズに進むのです。

事業計画書の作成は、今後の経営をぶれさせない指標となり、事業の発展が効率よく進み、事業成功に導いてくれるでしょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。