士業の事業計画書作成ポイント

士業は、一般的に稼げる業種というイメージが広く根付いているのではないでしょうか。士業と一言でいっても弁護士や公認会計士、税理士や司法書士・行政書士など様々で、少し前まではどの資格も平均年収500万円〜700万円と高所得業種の代名詞としても知られてきましたが、現在では有資格者数の増加に伴い「食べていけない業種」とまで言われるようになりました。

しかし、継続運営できないのは業種ではなく「経営」に問題があるからです。士業の多くが経営の軸となる「事業計画書」を作成していないのが事実、継続経営をするためには事業計画書作成は欠かせません。

今回は、士業で継続経営を実現する事業計画書作成ポイントについてお伝えします。

士業で事業計画書を作るには

士業として独立開業したところで、事務所経営は一般的な企業経営となんら変わりません。事務所を開業するにはそれなりの資金が必要なため融資を受けて開業する方も多いですし、事業継続には売上を上げ利益を出し続けなければならないため、曖昧な覚悟で経営を行っている方は企業生存が困難になります。

多くの時間とお金を費やしてせっかく取得した資格ですから最大限活かせるように、事業計画書を作成しブレない継続できる士業事務所経営を目指しましょう。士業の事業計画書作成で特に注力するポイントは以下です。

士業の事業計画書作成ポイント

事業目標を具体的に設定する

まず、事業を通してどうなりたいのか?どこを目指しているのか?という目標を具体的に設定します。人間にとって目標はとても大切なもので目標を設定することにより事業に対するモチベーション維持が可能になるのです。逆に目標がないと、どこに向かって歩みを進めればいいかわからなくなるため、毎日の業務がただ単調な日々を過ごすためだけの業務となり継続出来なくなります。

事業目標を設定する場合は、短期(1〜2年先)・中期(3〜5年後)・長期(10年以上後などの最終目標)とそれぞれを作成しましょう。最終目標はどれくらいの事業規模にしていたいか?それを達成するには5年後どれくらいの規模になっていなくてはいけないか、さらにそれを達成するには来年少なくても○○円以上の売上を上げなくてはいけないなどそれぞれの項目を数字に落とし込むことにより目指す先が決まるため、目標を達成する計画も明確になります。

 

事業コンセプトを明確化する

士業の業種特性上、基本的な業務内容や価格帯が競合他社と大きく差をつけることが難しいため安定した集客を実現するには事業コンセプトを明確にし、それをもとに一貫したブランディングを行い他社との差別化を図る必要があります。そもそも事業コンセプトとは、事業の概要であり自身が行っている事業を第三者に理解してもらうために設定します。士業の場合は、顧客に対して「この事務所では○○をどのように対応してくれるのか?」という質問に応えるイメージで設定すると差別化に繋がる事業コンセプトを設定することができます。作成の際、以下項目も参考にしてください。

項目 内容
誰に サービスを販売したいターゲット顧客
何を サービスの内容や、サービスの質、実績といった自社の強み
どのように 価格や営業、販売方法など

上項目をより具体的に見ていきましょう。

「誰に」はターゲット顧客のことで、誰にサービスを購入・導入してほしいかということです。士業の多くは、ターゲット顧客がそれなりに決まっているかと思いますが、それをより具体的に書き出してみましょう。ターゲット顧客の性別、年齢、生活地域、所得、職業、労働形態など属性を明確に設定することにより集客に繋がるアプローチ法・営業方法が紐付いて見えてきます。

「何を」はサービスの内容や、サービスの質、それによって得られた実績などの強みです。士業の場合はサービス業と同じ特性を持っており、無形であることが多くさらには普段一般消費者との接点が少ないためサービス内容がイメージしづらい業種です。サービスを顧客により具体的にイメージさせるために必要となります。

「どのように」は、顧客やサービスを考慮した上での販売戦略に関わる部分です。例えば、顧客がこれから起業をする起業家だった場合、どのような価格帯でどのような集客・営業方法、どの媒体を利用して広告をかければ売上に繋げることができるかなど、売上を上げるために重要な部分です。

これらを明確にして事業計画書に入れ込むことにより、軸の通ったぶれのない経営が可能になり、さらには競合他社との差別化を図ることもできます。

 

現実的な財務計画を立てる

士業が開業する場合、自宅の一室を事務所として利用する場合が多いため他業種と比較すると開業にかかる費用は少なく済みます。さらにその他運営に必要な費用もさほどかかりません。しかし士業の場合は、安定した案件獲得が難しいため開業後しばらくの間は収入無しで運営することを想定する必要があります。それを踏まえた上で、現実的で綿密な財務計画を立てましょう。士業事務所開業時にかかる費用項目は以下を参考にしてください。

事務所開業費用項目
・登録費用

・協会会費

・事務用品費

・家賃関連費

・内装費

・PC機器関連費

・固定電話, ネット回線

・ホームページ作成費

計画項目 内容
初期投資額 家賃/保証金,  PC, 運転資金等など開業に必要な費用
売上・損益計画 開業後の損益の見込みを記載した計画書
資金計画 資金調達, 支払い, 返済計画を軸にした計画

 

継続経営を実現するためにも綿密な事業計画作りを

事業計画書は、これから起業・開業してスタートする事業の内容や、経営方針、戦略、財務計画など自社や事業の概要や、3〜5年後の事業展開をまとめた資料です。その主な役割は、「自社の強みや弱みを把握し、今後の戦略展開などを整理すること」「金融機関からの資金調達の実現」「事業開始後の評価指標」で、作成することによって得られるメリットは他にも多々あります。

事業計画書は特に書式や様式が決まっているわけではないので自由に項目を設定して作成することができますが、自由な反面、入込む項目を間違え、本来事業計画書を作成することで得られるメリットが、十分に得られないということもあります。したがって事業計画書作成におけるメリットを十分に得るには、しっかりと作り込む必要があるのです。

優秀な事業計画書とは自分の事業に特化した情報が網羅されており、なおかつ第三者がわかりやすいというのが前提になります。作成時にインターネット上に出回っている事業計画書のテンプレートを利用する方は多いと思いますが、それをそのまま利用したのでは型にはまったどこにでもある事業計画書になってしまい事業計画書本来のメリットが発揮されにくくなります。全業種に共通する事業計画書に入込むべき項目を抑えつつ業種別さらには自社に特化した事業計画書作成を目指しましょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。