整骨院・鍼灸院の事業計画書作成ポイント

整骨院や鍼灸院などの治療院を開業する際には、金融機関からの融資を受けてスタートする方が多いのではないでしょうか?

治療院に限らず店舗を構えての運営は、通常多額の資金が必要となるため、多くの方が金融機関からの借入によって資金を調達し、事業安定までの期間を乗り切ります。

しかし、ここ十数年での店舗数激増や有資格者の増加に伴う競争率の高まりや、保険請求への規制強化などにより、一部の治療院では運営困難となり閉院を止む無くされるところも増えており、業界が飽和状態にあることから、治療院業界での融資審査通過率は2割程度と非常に厳しい現実となっています。

だからといって事業開始・運営分を全て自己資金でまかなうのは容易ではなく金額を考えると現実的ではありません。

今回は、融資審査を見据えた整骨・鍼灸院の事業計画書作成ポイントについて解説します。

将来的に治療院を開業したい、すでに運営しているけど資金繰りにお困りの方は、ぜひ本記事をご一読ください。

整骨院・鍼灸院で事業計画書を作るには

全国には、整骨院が4万5,000店以上、鍼灸院が2万店以上存在すると言われており、現在でもその店舗数は増加傾向にあります。整骨院や鍼灸院の開業には1,000万円以上必要で多くの方が融資を受けて開業しますが、その反面、治療院の開業融資成功率は2割程度と言われています。競合が非常に多く、ほとんどの治療院が経営難にある以上融資審査が厳しくなるのは当然です。

このような現状の中、融資を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?実は、上記以外の融資が成功しない要因に事業計画書の精度も大きく関わっています。融資申請に必要不可欠な事業計画書ですが、国や県、各金融機関は融資審査の際、事業計画書の良し悪しは開業後の経営を左右することから大きなポイントとしてチャックしているため、事業計画書はとても重要なのです。事業計画書は業種によって作成ポイントが微妙に異なり、それぞれの業種に特化して作成する必要がありますので、こちらでは整骨院・鍼灸院などの治療院に特化した事業計画書作成のポイントについてお伝えして行きます。

整骨院・鍼灸院の事業計画書作成ポイント

顧客ニーズの把握とニーズに応える対策を考える

近年では世の中全体的に健康に対する関心が高まっており、それに答えるように様々な健康グッズや健康食品、マッサージ店やリラクゼーションサロンなどが増えています。もともと整骨院や鍼灸院などの治療院でのメインターゲットは高齢者でしたが健康ブームにより老若男女問わず幅広い顧客層に利用されるようになりました。

整骨院や鍼灸院の一般的なアピールポイントとして、高い技術力や丁寧なコミュニケーション接客などが挙げられますが、これらは今では当たり前で、顧客からすると「どの治療院も同じことを言っている」という見方をされるため有効ではありません。このようなことは顧客ニーズをしっかりと把握できていないからこそ起こることで、顧客ニーズを把握できていないということは、サービス提供側がなんとなく「これがニーズだろう」と予測だけでサービスを提供し、顧客はニーズとの違いを感じていながらも、ニーズを満たしてくれるところが無いため仕方なく利用しているということになります。このような状況下で運営をしていると、近隣に競合店ができた場合、顧客を奪われてしまい運営が厳しくなるのは目に見えています。

このような状況を防ぐためには、顕在的ニーズ・潜在的ニーズを含め「顧客は何を求めているのか?」というニーズをしっかりと分析把握し明確化したのち、それに応える対策を打つ必要があります。

これらの分析戦略を事業計画書の一部に入れ込むことができれば、融資成功率が上がるばかりか開業後の客離れを防ぐことがきるのです。同じジャンルのお店でも、店舗を開業するエリアによっては若者が多いのかお年寄りが多いのかでもターゲットが異なったりもしますので、それらを加味して顧客ニーズを明確にし、そのニーズに応える対策を考えましょう。

 

店舗立地と調査を徹底して行う

整骨院や鍼灸院を開業する上で店舗の立地はとても重要な要素です。開業後の客入りや客単価それに応じて売上が大きく変わってくるためいいかげんに選ぶわけにはいきません。店舗立地を選ぶには第一にターゲット顧客を明確にするところから始まります。整骨院や鍼灸院を利用したい顧客の性別や年齢、職業や年収などを明確化し、その顧客が利用しやすい場所が最適な立地となります。高齢者がターゲットなら下町商店街なのかもしれませんし、部活帰りの学生ならば学校の近くかもしれません。

予算と家賃の関係もありますので、前述した流れでいくつか開業場所の候補を挙げ、その次に現地調査を行いましょう。現地の人通りが多くなる時間帯や、人通りが多い通り、混雑する曜日や周辺店舗の把握は現地に行って確認しないとわからない貴重な情報です。すでに存在する競合店は非常に良い参考になるので必ずチェックするようにしましょう。

 

競合店との差別化を考える

店舗立地と調査ができれば、周辺競合店との差別化ポイントを明確にしておく必要があります。すでに存在するA店の隣に全く同じ条件のB店を出店した場合、顧客はすでに通っていたA店にしか行きません。この場合、B店でしか行っていない、またはB店でしか取り扱っていない商品があるなどのA店との明確な差別化が必要となります。

整骨院や鍼灸院で行われる差別化は、「他店では導入されていない治療器具導入」や「窓口支払い金額」、「営業時間」などが一般的です。差別化を明確に事業計画書に記載することができれば、融資申請の際にも大きなアピールポイントとなります。

 

綿密な財務計画を立てる

前述した項目を固めることができたら、売上計画、損益計画、返済計画などの財務計画を立てていきます。店舗立地でかかる経費、競合店の客入り客単価などの情報に基づいた綿密な財務計画は、開業後の適正な指標となるため不足の事態というのを極力さけることができるのです。細かで綿密な財務計画は、自身のためでもありますが融資を受ける際の大きな信用ポイントとなるため作り込むに越したことはありません。以下は開業初期にかかる主な費用ですので計画作成の参考にしてください。

費用項目 内容
物件取得費 店舗保証金(敷金)、店舗礼金、仲介料、前家賃、火災保険料など物件賃貸もしくは購入にかかる費用
内外装工事費 店舗の内装や外装のデザイン、工事にかかる費用
設備投資費 施術ベッド、ウォーターベッド、パルス治療機など整骨院・鍼灸院経営に必要な器具にかかる費用
設備 パソコンやその他電化製品など治療器具に含まれない設備にかかる費用
広告宣伝費 チラシ作成費、ホームページ作成費、顧客カードなどの作成費用
人材採用費 人材を雇用する際に必要となる費用
運転準備資金 開業後運営継続をするために必要な資金

 

メリットを最大化した事業計画書作りを

事業計画書は、これから起業・開業してスタートする事業の内容や、経営方針、戦略、財務計画など自社や事業の概要や、3〜5年後の事業展開をまとめた資料です。その主な役割は、「自社の強みや弱みを把握し、今後の戦略展開などを整理すること」「金融機関からの資金調達の実現」「事業開始後の評価指標」で、作成することによって得られるメリットは他にも多々あります。

事業計画書は特に書式や様式が決まっているわけではないので自由に項目を設定して作成することができますが、自由な反面、入込む項目を間違え、本来事業計画書を作成することで得られるメリットが、十分に得られないということもあります。したがって事業計画書作成におけるメリットを十分に得るには、しっかりと作り込む必要があるのです。

優秀な事業計画書とは自分の事業に特化した情報が網羅されており、なおかつ第三者がわかりやすいというのが前提になります。作成時にインターネット上に出回っている事業計画書のテンプレートを利用する方は多いと思いますが、それをそのまま利用したのでは型にはまったどこにでもある事業計画書になってしまい事業計画書本来のメリットが発揮されにくくなります。全業種に共通する事業計画書に入込むべき項目を抑えつつ業種別さらには自社に特化した事業計画書作成を目指しましょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。