サービス業の事業計画書作成ポイント

サービス業は、小売業や飲食業などとは違い、モノではなく形のないサービスを提供して売上をあげます。一般的に在庫を抱えないことから他業種と比べローリスクと言われていますが、サービス業にはサービス業なりの運営の仕方やリスクが存在し、それに備える事業計画書の作成ポイントも異なるため事前に把握しておくことが必要です。

今回は、サービス業での事業継続を見据えた事業計画書作成ポイントについてお伝えします。

これからサービス業で独立開業を検討されている方、サービス業で独立開業したけど運営がうまくいっていない方は、ぜひ本記事をご一読ください。

サービス業で事業計画書を作成するには

一言でサービス業と言っても、スポーツジムやスクールなどの有店舗型もあれば、出張サービスや宅配サービスといった無店舗型のサービスなど幅広く存在します。しかし、運営形態は違いますがサービス業の特徴はどれにも共通して当てはまりそれに伴う注意点も重なるためサービス事業を行うのであれば、それぞれを事前に把握しておきましょう。サービス業の特徴は以下です。

サービス業ならではの特徴

特徴 内容
①不可分性 生産と消費が同時に行われ切り離せない
②非均一性 全く同じ品質を一定に保つことができない
③無形成 形がない

①不可分性

サービス業の一つの性質として不可分性があげられます。不可分性とは生産と消費が同時に行われ、二つを切り離すことができないという性質のことです。サービスを消費してくれる顧客がいないとサービスを作ることができないため、在庫をすることができません。したがってサービス提供側と顧客とのタイミングが合わなければ売上を上げることができないため、サービス業では機会損失が発生しやすいというリスクがあります。

 

②非均一性

非均一性とは、全く同じ質を一定に保つことができないということです。例えばマッサージ店でマッサージというサービスを顧客に提供する場合、マッサージ師の努力により出来る限り顧客に対するサービスの質は揃えますが、1人目の顧客と10人目の顧客では体力や感覚の相性などによりサービスの質に少なからず差が生じます。

 

③無形性

サービス業最大の特徴は、サービス自体に形がないということです。実物がないためメリット説明がしづらく、イメージが伝わりにくいため、戦略を立てなければ顧客はサービスを理解し購入してくれません。したがって形があるモノを販売するよりも販売難易度が上がることになるのです。

 

以上がサービス業に共通する特徴であり注意しなければいけないポイントです。ではこれらを考慮した上で、どこに重きをおいて事業計画書を作成すればいいのでしょうか?以下作成のポイントを見ていきましょう。

 

サービス業の事業計画書作成ポイント

事業コンセプトを明確化する

サービス業は無形性という特徴上、顧客に商品を理解してもらいづらいという大きなデメリットがあります。このことから、サービス業を営む際はより集客・営業・販売戦略に力を入れなくてはいけません。それらを具体的に決めるには事業コンセプトを明確にする必要があり、事業コンセプトを決めることにより事業に軸ができ一貫したブランディングが可能になるため結果的に集客・営業・販売促進に繋がるのです。事業コンセプトは以下の項目を参考に明確化してください。

項目 内容
①誰に サービスを販売したいターゲット顧客
②何を サービスの内容や、サービスの質、実績といった自社の強み
③どのように 価格や営業、販売方法など

上項目をより具体的に見ていきましょう。

「誰に」はターゲット顧客のことで、誰にサービスを購入・導入してほしいかということです。ターゲット顧客が明確になると、適正な価格はアプローチ・販売方法が紐付いて見えてきます。

「何を」はサービスの内容や、サービスの質、それによって得られた実績などの強みです。これらは無形上、イメージしづらいサービスを顧客により具体的にイメージさせるために必要となります。

「どのように」は、顧客やサービスを考慮した上での販売戦略に関わる部分です。例えば、顧客が年収1000万円以上の高所得者でサービスが高級エステだった場合、どのような価格帯でどのような店舗、立地、または施術空間が最適か、高所得者を集客するにはどのように営業や広告をかければ売上を上げることができるかなど、売上を上げるために重要な部分です。

これらを明確にして事業計画書に入れ込むことにより、軸の通ったぶれのない経営が可能になります。

 

価格以外で競合他社との差別化を測る

前項の事業コンセプトと同時に競合他社との差別化を考えましょう。サービス業において一部を除き多くの場合、直接人間がサービスを提供するためビジネスにレバレッジをかけることが難しくなります。マッサージや美容室などが良い例で、サービスの提供は人間が行うため1時間あたりの売上には限界があり、競合他社と価格競争をして値引きしてしまうと長期的にみて経営が困難になるのです。そのため価格以外で競合他社と差別化をする必要があります。以下を参考の他社との差別化を考えてみてください。

項目 内容
手軽さ サービスを利用するにあたっての手軽さ
サービス内容 サービスの内容や、サービスの質、サービスを利用することにより得られる結果
顧客密着 顧客の細かいニーズにも答える

差別化とは他社との違いを明確にすることです。自社のサービスをどのように提供できれば、顧客により手軽に利用してもらえるか、自社のサービス内容や得られる結果は他社と比べて何が違うのか、自社のサービスはどのような顧客ニーズを満たしてくれるのか?などを事業コンセプトに沿った上で明確にしましょう。

 

リピート対策をする

新規顧客獲得の策も大切ですが、サービス業ではリピート対策がより重要です。サービス業では集客の難易度が高いため、それに比例し新規顧客獲得も難しくなります。逆に一度サービスを利用していると顧客側からすれば利用ハードルがかなり下がるため、顧客をリピートさせることは新規顧客獲得より比較的簡単になるのです。難しい新規顧客獲得に常に追われないためにも、リピート対策を入念に行いましょう。そうすることにより事業開始後、安定した経営をすることができるようになります。

しかし、リピート対策と一言でいっても方法は様々で、顧客の段階によって行う方法や対策が変わってくるためタイミングや手法を間違えると顧客に圧迫感を与え逆に顧客離れにつながることもあります。例えば、初めて利用したお店で商品を購入して、会計時にしつこく他の商品や会員の入会案内をされると、とても不快に感じませんか?しかし何回も利用している好きなお店の場合は不快どころか嬉しいと感じるはずです。以下は、新規顧客・継続顧客・ファン顧客、それぞれの顧客段階に応じたリピート対策ですので参考にしてください。

このように顧客の段階によってリピート率は変わってくるため、顧客段階、それに合ったリピート対策を事業開始前から計画にいれることにより、開始後の経営を安定させることができるため対策をしっかりと練り事業計画書に明記しましょう。

 

状況に応じた適切な事業計画書作りを

事業計画書は、これから起業・開業してスタートする事業の内容や、経営方針、戦略、財務計画など自社や事業の概要や、3〜5年後の事業展開をまとめた資料です。その主な役割は、「自社の強みや弱みを把握し、今後の戦略展開などを整理すること」「金融機関からの資金調達の実現」「事業開始後の評価指標」で、作成することによって得られるメリットは他にも多々あります。

事業計画書は特に書式や様式が決まっているわけではないので自由に項目を設定して作成することができますが、自由な反面、入込む項目を間違え、本来事業計画書を作成することで得られるメリットが、十分に得られないということもあります。したがって事業計画書作成におけるメリットを十分に得るには、しっかりと作り込む必要があるのです。

優秀な事業計画書とは自分の事業に特化した情報が網羅されており、なおかつ第三者がわかりやすいというのが前提になります。作成時にインターネット上に出回っている事業計画書のテンプレートを利用する方は多いと思いますが、それをそのまま利用したのでは型にはまったどこにでもある事業計画書になってしまい事業計画書本来のメリットが発揮されにくくなります。全業種に共通する事業計画書に入込むべき項目を抑えつつ業種別さらには自社に特化した事業計画書作成を目指しましょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。