小売業の事業計画書作成ポイント

小売業はコンビニやスーパー、商店街の魚屋さんから八百屋さん、街角のおしゃれな雑貨店など様々な形態で存在しますが、どれにも共通していえるのが、そのシンプルなビジネスモデルです。小売業におけるビジネスモデルはビジネスの基本と言っても過言ではありません。

そんな小売業ですが、ビジネスモデルがシンプルなだけあってビジネスイメージがつきやすく取り組みやすい反面、取り扱う商品によっては在庫の扱いが難しく事業の継続は容易ではありません。小売業で成功して事業を継続するにはそれなりの知識や経験、さらには綿密な事業計画が必要でそれを形にした事業計画書は不可欠です。

今回は、事業継続を見据えた小売業での事業計画書作成ポイントをお伝えします。

これから店舗開業をお考えの方、開業したけどうまく回っていない方は、ぜひ本記事をご一読ください。

小売業で事業計画を作成するには

小売業のビジネスモデルは、「ビジネスモデルとは」などのテーマでも例にされるほどシンプルで「仕入れ→販売」という流れが基本です。シンプルかつ身近なこともあり、小売店は今や全国に溢れかえっており、その店舗数は140万店以上というデータも出ています。

しかし、イメージしやすい反面、競合過多、さらに小売店の特性ともいえる在庫を抱えての事業運営は容易でなく、仕入れと在庫、そして販売のバランスをとりながらの経営は至難の技と言えます。

これらをクリアし事業継続を実現させるには計画的な経営が必要で、それには綿密に作り込まれた事業計画書が不可欠です。事業計画を作成する上で、特に小売業の場合は以下ポイントに注力し作成しましょう。

小売業での事業計画作成ポイント

店舗コンセプトを明確化しブランドを確立する

まず、小売店をやりたい場合は、店舗のコンセプトを明確にする必要があります。コンセプトとは全体の柱になるような概念のことで、店舗コンセプトとはお店を創り込む際の軸になる考え方またはテーマのことを指します。店舗コンセプトを決めることは、競合他社が多い業界では非常に重要なことで、後々店舗オープン後に経営にとても良い影響を与えてくれるのです。

雑貨店で例えてみると、「この雑貨店のコンセプトは"アメリカン"」とした場合、"アメリカン"がお店の軸となるため、コンセプトに従えば、店名や内装、そして取扱う商品もアメリカンで統一されることになります。コンセプトを明確化し統一することができれば、顧客に「あのお店に行けばアメリカンな雑貨を買うことができる」という価値の認識をさせることができ、店舗のブランディングが確立され小売業という広い競合が渦巻く市場の中でポジションを築くことができるのです。

ポジションを築くことができれば、顧客の頭の中では「アメリカン雑貨なら○○店だ」となるため集客になり最終的には売上向上に繋がるためブランディングを含めたコンセプト設定をしましょう。

また、後述する項目の具体化をするためにも店舗コンセプトはとても大切で、コンセプトを明確化できればそれに関連して、

・店舗をどこにオープンするのが最適か?

・店舗の雰囲気・内装はどのような感じにするか?

・また、それを実現するにはいくら必要か?

・コンセプトに合う商品はどのようなものか?

・それらの商品の在庫管理はどうすればいいのか?

などのやんわりとイメージでしかなかったものが明確になり、より優秀な事業計画を立てることができるのです。

 

顧客分析をしてターゲットを明確にする

店舗コンセプトを明確にすることができたら、次はターゲット顧客を明確にします。これから取扱う予定の商品は、どの顧客層に売れるのでしょうか?

・顧客の性別

・顧客の年齢

・独身/夫婦/家族

・ターゲット顧客の収入

など、これらのような顧客分析はお店を出す場所や、価格設定などにも影響するため結果的に売上に響いてきます。

 

店舗の立地や周辺環境を調査する

顧客分析をしっかりと行うことができたら次は店舗の場所を決めます。分析して結果が出た顧客はどの辺りに多くいるのでしょうか?ターゲット顧客がファミリーなら、ファミリー向け住宅マンションが多い駅の近くかもしれませんし、サラリーマンであるならオフィス街かもしれません。

前項の顧客分析は、店舗経営でとても重要な要素である立地決めの候補材料になります。さらにそれらを一つに絞り確実なものとするため現地調査も欠かさず行いましょう。現地調査により、その周辺地域の家賃の価格帯、曜日ごとの人通りの数や、周辺にある競合となりうるお店、または近くにあると助かるお店など、細かい現地調査をすることは、より綿密な売上計画を作成することができるようになるので必要不可欠です。

仕入れルートの確定する

小売店にとって仕入れは原点です。そもそも小売店は仕入れることができなければ販売する商品がないため売上を上げることができません。そのため「店舗で取扱う商品をどこから仕入れてくるか?」また「どのように仕入れてくるか?」は事業開始前に明確化しておく必要があります。お店をオープンして「商品を仕入れることができませんでした」では話になりません。

店舗コンセプトが決まったら、店舗コンセプトに沿った取扱商品を決め、商品を卸してくれる卸業者や製造元と事前に交渉し確定し仕入れルートを事前に確定させておきましょう。

在庫管理を具体的にイメージする

小売店を運営する上で、在庫管理は経営を左右するため、必ず具体的に固めておきたいところです。取扱う商品や店舗の大きさ等で在庫管理の方法や在庫量などは変わりますが、在庫をかかえすぎるのは販売できなかった際のリスクにもなりますし、少なくしすぎても販売できたのに在庫が足りず売上を上げることができなかったなど機会損失に繋がるため絶妙なバランスが必要で、在庫管理のバランスを実現するには以下の要素が必要です。

・商品別在庫場所の明確化

・入出荷の記録による性格な在庫量の把握

・整理整頓

これらを意識し、どのように在庫管理をするのか事前にイメージを具体化することが経営にとってプラスに働きます。

 

販売戦略を立てる

事業を存続させる上で販売は必須です。当然ですが商品を販売できなければ、売上を上げることができず利益が出ないため経営を継続することはできません。事業開始後、継続して売上を上げ続けることができるように事前にどのような販売活動、宣伝活動を行うかなどを計画立てておくことが重要です。主に小売店では以下のような販促活動を行います。

・日替わりもしくは週替わりの目玉商品

・POP広告

・クーポン発行

・プレゼントキャンペーン

・イベント出店

・チラシ配り

・メディア掲載

これらの販促活動は一見地味ではありますが、継続して売上を伸ばすにはとても大切なことです。これらを計画立てて実行するには何が必要でどうすればいいのか?まで、しっかりと事業計画書に落とし込みましょう。

 

事業計画にはメリットがたくさん

事業計画書は、これから起業・開業してスタートする事業の内容や、経営方針、戦略、財務計画など自社や事業の概要や、3〜5年後の事業展開をまとめた資料です。その主な役割は、「自社の強みや弱みを把握し、今後の戦略展開などを整理すること」「金融機関からの資金調達の実現」「事業開始後の評価指標」で、作成することによって得られるメリットは他にも多々あります。

事業計画書は特に書式や様式が決まっているわけではないので自由に項目を設定して作成することができますが、自由な反面、入込む項目を間違え、本来事業計画書を作成することで得られるメリットが、十分に得られないということもあります。したがって事業計画書作成におけるメリットを十分に得るには、しっかりと作り込む必要があるのです。

優秀な事業計画書とは自分の事業に特化した情報が網羅されており、なおかつ第三者がわかりやすいというのが前提になります。作成時にインターネット上に出回っている事業計画書のテンプレートを利用する方は多いと思いますが、それをそのまま利用したのでは型にはまったどこにでもある事業計画書になってしまい事業計画書本来のメリットが発揮されにくくなります。全業種に共通する事業計画書に入込むべき項目を抑えつつ業種別さらには自社に特化した事業計画書作成を目指しましょう。

 

ライタープロフィール

EL-LAB編集部

金融、経営コンサル、人材紹介、WEBメディア業界出身者が集まり、キャリアチェンジ(起業マニュアル/転職マニュアル)、ワークライフ(仕事人生の悩み)、マネーライフ(お金と人生の悩み)というテーマを軸に、各々の専門分野に特化した有益で信頼性の高い情報を発信。